茜さんはそんな蜻蛉君の態度に気付くと、彼の傍に寄り、並んでしゃがみ込みました。
「ねっ、あんた、何かいい方法を知っているのね。」
こんな時どうしたらいいか、何かいい方法を知ってるんじゃないの?と、彼女は小声で興味深々、彼に声を掛けたのでした。
蜻蛉君が祟りの良い解消法を知っているのかどうか、この時の茜さんにははっきりとした事は分かりませんでした。が、彼の余裕のある態度を見て取ると、何かしら上手く人の怨念、祟り等、憤る相手の念の力を振り払う方法が有るのでは無いか、と感じ取ったのでした。
蜻蛉君は茜さんをちらりと見るとふふんとばかりに笑いました。そして、「分かった?」と声を掛けました。ごくりと茜さんは唾を飲み込みました。『そんな方法があるんだ⁉』、彼女は思わず彼に頼み込みました。
「教えてよ、ねっ、私とあんたの仲じゃないの。」
茜さんは彼の肩に手を掛けました。これに対して蜻蛉君は、「駄目だよ、でも、如何しようかな、…だけどなぁ、」と、そんな思わせぶりな事をくちゃくちゃ口の中で言っていましたが、除念、…
「除念って言うのがこの世にはあるのさ。」
と、遂に彼は彼女にこの言葉を教えるのでした。
「聞いた事無いか、除念だぜ。」
この言葉を口にすると、彼は顔を青い空に向かって高く掲げ、如何にも得意気で満足そうな雰囲気に変わりました。