私が祖母をよくよく見詰めると、彼女は本当に何だか恥ずかしそうな雰囲気を身に纏っていた。この事を不思議に思う私が自分の視線を上下すると、もじもじと足摺などしている彼女の足元が目に入った。こういった祖母の見慣れぬ容姿に、何なのだろうと私は怪訝に思った。
「お祖母ちゃん、後ろに何を持っているの?。」
私は彼女の隠された手元が気になって訊ねた。すると、祖母は益々恥ずかしそうに頬を赤らめた。彼女は目なども赤くして、一言も口を利けないでいるのだった。それで益々不思議が募った私は、引き続き注意深く祖母の顔を見詰め続けた。すると、彼女の口が自身の心中の恥じらいを表すように下向きに窄まった。この祖母の顔付きに、私は彼女が変わった顔付をするものだと少々戸惑いながらも、目を離さずに見入っていた。何だろう?。が、次の瞬間ははぁんと閃いた。
『菓子だ!。お祖母ちゃんはお菓子を隠している。』
そのお菓子は、きっとおいしいお菓子なのだ!。私はそのお菓子は相当に美味しい物なのだと勘ぐった。何故なら、祖母が私に与えずに1人で食べてしまいたい程の物なのだから。そう考えたのだった。