Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

今日の思い出を振り返ってみる

2019-09-27 09:10:28 | 日記
 
土筆(208)

 『何で?』『お母さんは何で、今このお寺に来たのかしら?』何時も、今迄も蛍さんは1人でここでこの遊びを練習して来たのです。が、母はちらっと覗きに来た程度、退屈そうに無言で彼......
 

 良いお天気が続きました。午後、夜、または明日から雨になって行く予報です。今は未だとてもよい秋晴れの空です。


うの華 59

2019-09-26 16:19:53 | 日記

 何だか訳も分からず暗い気分で、客が障子の一件が私のせいだというのだから、彼は多分父の知り合いなのだろうと私は考えた。程無く失礼な客から解放された私は廊下に出て、誰もいない台所に向かい、その後は家の中をあちこち見て回ったが、家の大人は皆家中には居ないようだった。私はもう居間には戻らなかった。あの客がまだそこにいたらと思うと、私は会いたくなかったのだ。私は縁側から台所、裏口に回ると降り口に腰かけて暫くその儘ぼーっとしていた。

 どの位経っただろうか、背後から母の声が聞こえたので私は振り返った。

「智ちゃん、そんな所で何してるの。」

母は微笑んでいたが、私が母を見上げてその顔をよくよく見ると、彼女は何だか歪な不自然な笑顔を作っていた。

「お母さんこそ、何だか顔が変だよ。」

私は言った。「居間に変な人が居たんでしょう?。」はたして母は、おやっと、思い当たった様子の顔をすると私の顔を見て、

「ええ、そう。お前も会ったの?。」

と聞いて来た。私がそうと頷くと、母はやはりねと、私の元気の無い様子に合点した。何だか私と同じような目に遭わされたらしい。

 が、嫌疑を掛けられた私と違う点は、母がこういった類の事件で場数を踏んだ大人であり、今回の障子の件の真犯人であった事だ。母は暗い顔で俯くと、ああ疲れたと呟いた。がっくりとした感じで体を屈めると、「一寸ごめんよ。」と私の座る横に腰を掛けた。私は母が来て降り口が狭くなった事と、この母のせいでああいった目に遭ったのだという気持ちが、母とこの儘ここで席を同じくする事を厭わせた。私は立ち上がって台所へ戻ろうとした。

「お前行くのかい?。」

居間に戻るのかと母が尋ねるので私はううんと否定すると、「水が飲みたくなったのだ。」と適当に理由をでっち上げて彼女の傍を離れようとした。居間に行かないのか、母はがっかりしたように言うと、気を取り直したように微笑んで言った。

「お前、居間に行って来てよ。」

「私はお茶を入れて来ますと言って来たんだよ。お前お母さんの代わりにあの人にお茶を出してきてくれないかなぁ。」

等と、母は悪戯っぽそうな笑みを浮かべて私に言った。勿論私は眉根に皺を寄せると憮然として母を見詰めた。


うの華 58

2019-09-24 14:45:29 | 日記

 「あなたに迷惑しています。」

その男の人は、私が驚くような一言を言った。『私が?』、『何故この見知らぬ男の人に迷惑をかけているのか。』、この時の私には容易に想像もつかなかった。

 「私や私の家族も迷惑しています。私達の事を世間に言いふらさないで貰いたい。」

?である。私が知りもしない人と、その家族の事等、尚更に私は知り得ない無いのだから話し様が無かった。

「知らない人の事は話さないし、話せない。」

そうでしょうと、私は逆にその男の人に問い掛け同意を求めた。私の切り返しに男の人はやや沈黙した。

 少々間が有ったが男の人は言った。

「だが、あちらこちら尋ねあぐねてみると、この話を知っているのはこの家の人間しかいないのだ。この家ではあなたしか話の出所が無いのだ。」

そんな長い事を言う。私は途中から彼の話が分からなくなって消化不良気味になった。頭が混乱していた。もしかするとこの男の人は外国人なのでは無いか?私はこう考えた。が、所々はやはり日本語が入っていたなと彼の話を思い返すと、日本語の話の中に外国の言葉が入っているのだろうか?等、はてさてと考えたりもした。何にしろ、返す返すも全くと言ってよい程理解出来無い話だった、と私は思った。私にはこの男性が訪問してきた目的が分からないし、何故私に用が有るのかも全然理解出来なかった。

 『私に用がある。』

さっき確かそう言われたなぁと思う。この人が言った「あなた」は私だと思う。それは確からしい。そう考えながら、次にあれこれと私自身と「話」という物について考えてみた。

 私が思い着く「話」は、御近所さんに私が話すこの家の家族の事だ。又は反対に、外で見聞して来た事を家の家族に話す事だ。このおじさんは見るからに私の家族に含まれない訳だから、外で見聞して来た話だろうか?しかし、家族に話したとは言わなかった。世間の人にと言われた。と、そんな事をあれこれと、私が黙ったまま考えていると、

「それごらん、後ろ暗い所が有るんだろう。」

おじさんはきっとした目を光らせてにやりとした。我が意を得たりと言う感じだったのだろう。

 私の方は、行き成り見知らぬ人から覚えもない出来事を追及され、如何やら咎められているらしいという事態に気付くと、その理不尽さにムッとしてくるのだった。それでもこの人は家の仕事のお客様らしい。家の仕事関係の人なら失礼な物言いや態度をしてはいけない。普段父から仕事の邪魔にならないよう、お客様には何でも言ったりしてはいけない、お客様を見たら口を閉じて静かに大人しくしている様にと言い遣っていた。私は言いたい事も言わずにもごもごと言葉を抑えるのに腐心した。

 「白状しなさい。犯人はお前だな。」

男の人に、こう迄あからさまに言われると感情の波を抑えていた私も堰が切れた。目の前のこの人は如何にも嫌な人だ。私はむっとしてそっぽを向いた。そして彼に向き直るときっ!として彼の目を見上げた。

「おじさんね、…」

言い掛けた私の言葉に、彼はそれを遮るように45度くるっと自分の身を回すと障子戸の方へ向きを変えた。そして私の事は全く無視して

「ここをご覧。昔はここにこんな穴は無かった。」

これは皆お前が開けたというでは無いか。何て行事の悪い子だ。こんな手癖の悪い事をして、末は牢屋か監獄か、外道の道に落ちるという物だ。ましてや、お前はしばしば嘘を吐いているそうでは無いか。等と淀み無く喋り出した。

 「嘘つきは泥棒の始まりだ。」

「成程それで手癖が悪いのだ。」

いけ無いなぁ。と断定的に言うと、彼は今度は私に向き直り、自分の顔を私の顔に向けた。そして油断なく私の目の前に自分の顔をぐいぐいと寄せて来ると、眼鏡越しに私の目を睨み、「お前さんは本当に悪い子だね。」と、駄目を押した。

 私は訳が分からなくても、これだけ大の大人の男性に遣り込められれば、自分がとてつも無く酷い窮状に落ち込んでいると悟らざるおえなかった。ううっと半泣きでべそを搔いた。私の空っぽになった頭の中には彼に言うべき釈明の言葉が一つも思いつかなかった。すると、

「泣いているのか、悪いと思ったら謝りなさい。」

彼は言った。

 そうすれば勘弁しない事も無い。何故こんな事をしたのか、それ相応の理由があるなら聞いてやろう。理由の如何によっては情状酌量してやらない事も無い。云々。彼は流暢に言葉を繋いで行く。しみじみとして静かな物言いだった。

 いうだけ言うと、目の前の男の人は言葉を切って私をきつく見詰めた。私は如何しようも無い所まで追いつめられた獲物のようだった。おじさんは獲物を狩る狩人の様な厳しい目付きで私を見詰めていたのだ。が、私が自己弁護の余地もない緊迫した状態に追い込まれ、項垂れてしょんぼりとその場に佇んでいると、漸く彼の気持ちにも余裕が出来た様だった。不思議な静けさと沈黙の内にも、この場に緩和した空気が漂い出したように私は感じた。

 程無く、

「幾つだったかね?、まぁ、あなたも未だ幼い子供の身だ。」

と穏やかな口調になった彼は言った。

 私がその言葉の穏やかさにおずおずと彼を見上げると、眼鏡の奥の瞳は穏やかで、少々悪戯っぽく笑っていた。私は渋い顔をした。『冗談だったのかな?』

 大人は時として酷くまじめな顔をして幾つもの難しい言葉を並べ立てると、子供の身の私達を揶揄うという事実を私はこれ迄数回の場面で体験していた。そう思うと内心ホッとして私の気持ちも緩んで来た。この人もそういう類の大人らしい、そう判断すると、私は、この人は私の嫌いなタイプの大人の男の人だ、と思った。私には、こういう大人の人は小さくて弱い物を苛める事が好きな人なのだ、としか思えなかったのだ。質の悪い、その人こそが悪人だと私は感じた。 


うの華 57

2019-09-24 09:45:29 | 日記

 それからどのくらい日数が経っただろうか、私は季節の気候の良さと自身の身長の伸びから、自分の身が軽くなった事を喜んでいた。そして心身共に日々成長しているのだなと感じていた。その日の天候と同じく爽快な気分で外遊先からるんるんと帰って来た。

 この頃の私の外遊と言えば、近所のお店の御亭主や御かみさんに愛想よくしてもらって来る事だった。空き地で野の花や虫に興味を持って摘んだり捕まえたりして来ることも有った。私1人での外出範囲は、せいぜいで家を含めた1区画の範囲だった。時間にして30分程家を留守にする程度の外出だ。時には訪問先でお茶やお菓子なども頂いて、よいご身分の子弟に祭り上げられたりもしていた。近所の大人、年配者は暇に任せてよく私を構ってくれたので、訪問する私も気兼ねなく、暇さえあればちょこまかと、あちらの店、こちらの店と出かけて行った。皆面白いと言って、私が話す我が家の大人の話、あれやこれやをにこやかに笑顔で聞いてくれた。

 まぁ、そんな事が、あの奥さんがね、あの坊ちゃんが、等々、時には吹き出して笑い転げたりもしていた。そんなご近所さん達の喜ぶ姿を見る事も、当時はそれで私の喜びだった。私は人を喜ばせる事が好きだったのだ。

 このように外には私に取って楽しい事、興味尽きない事が多々有り、私はお天気が良いと玄関に向かった。履物を履くのももどかしく、「行ってきます。」と一言言い捨てると、率先して1人外へ飛び出していった。時には訪問先で「誘拐されないようにね。」「1人歩きは危ないよ。」と注意される事も有ったくらいだった。

 家に上がった私は居間にはまた見知らぬ男性が立っているのを見掛けた。やはり障子戸の前にだった。私が「今日は。」と声を掛けると、その男性はやや微笑んで私の方へ顔を向けた。男性は眼鏡をかけていた。ガラス面がきらりと光った。歳はというと中年位に見えた。父よりは年嵩に見えた。

 「少し成長したね。」

とその男性は言った。「この前は挨拶なしだった。」と言う。ここで私は『はて?。』と思った。確かに居間で見知らぬ男の人に出会うのは2度目だったが、この前の男性とは違うようだと私には見えた。そこで私はその男の人をじろじろと見上げて、上から下、下から上と観察を始めた。するとその人は「遠慮も無しに失礼な子だねと言う。」「不躾だ。」と言うのだ。あれにきちんと躾けるよう言って置くからね。とも私に言った。

 「それにしても、」

と男の人は言葉を続けた。

「暫く見ない内に随分また、この家には相当珍しかった物が随分と数を増やしたね。最初に見た時にはこの家では未曽有の1個だと思ったが、こう数が増えるともう平生なんだな。これがねぇ、この家にあるとは。驚き桃ノ木だね。」

こう言った。私には全く理解出来ない、意味不明な言葉を彼は並べ立てて来た。おまけに、彼の言葉の最後に無言の儘でいた私に、

「山椒の木は?無いのかね?。」

と、私の目を集中してじーっと見詰めると、真面目に尋ねて来た。

 私は思った。

『何だろう?。』

訳が分からない人だ。見知らない他所の人なのだし、この前も商売で来た人だと思っていたけれど、あの時と同じ人ならやはり商売関係の人だなのだろう。それでは家の大人の人でないと話が分からない。子供の私が何時までも相手になっているより、お客様に失礼になる前に家の大人を呼んでこよう。

 そう考えた私は、

「大人の人を呼んできます。」

と言って、たたた…と足早に彼の傍らを抜け、台所へ足を向けようとした。するとその人は慌てて「ちょっと待って。」と私を引き止めた。

「私はあなたに用が有るのだ。」

と言う。『知らない人が?。』私に何の用があるというのだろうか。私は不思議に思って歩を止めるとその男性を見上げた。


今日の思い出を振り返ってみる

2019-09-24 09:43:13 | 日記
 
土筆(206)

 まぁ、それはそれとして…、と、彼女は他の結婚相手の候補についても考え始めました。「他も大事にしておかないとね。」何処で自分の将来の当たりが付くか分からないのです。念の為に......
 

 台風一過。曇り空です。気温も暑いという程では無く、過ごし易いかもしれません。