『おくのほそ道』の「尿前の関」の句に関して、こんな説明がされています。
≪従来、「尿」をシトと読むかバリと読むかで諸説があったが、野坡(やば)
本・曽良本の「バリ」の傍訓が確認された現在、異論の余地はない。当時の
言語意識では、バリは馬などの動物や下賤の人の小便をいい、シトは人の
小便をいった。「バリ」の傍訓はそうした言語意識によるもので、芭蕉は「尿」
の漢字を当てることで、尿前の関の意を利かせたのである。≫
(角川ソフィア文庫・『新版 おくのほそ道』)
その野坡本の「尿前の関」の関係部分がこの二枚の写真です。
左側の中位の尿の字に「シト」と振り仮名がされています。これは地名として
の尿前の読み方、右の尿には「バリ」と振り仮名。
この自筆本が世に紹介されたのが平成八(1996)年十一月です。
この「つぶやき」でも触れたことがあります、参考にして下さい。
『芭蕉自筆 奥の細道』 2013-06-19
もう一度、芭蕉の口調で読んでみましょう。
のみしらみ うまのばりする まくらもと