kaeruのつぶやき

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戦争と平和と『戦争と平和』

2023-03-08 22:42:00 | 本のひと言

「夜の終わりの午前3時」と言いますから昨夜というより今朝の始め、3時半頃までこの文庫を広げていました、

トルストイの『戦争と平和』です、この文庫本は旧版で全8冊です。

3日の「つぶやき」のYouTubeに、ウクライナの人々が、今後トルストイを読まないと言っている、と。

それを聴きながら、この作品を持っていることを思い出しましたが、直ぐ手に取れる場所にはなく本棚のどこだったか? と思いつついて昨日「掘り出した」のでした。かなり以前古本屋の棚にセットで幾ら、と出ていて「何時か読む本」として買っておいてその「何時か」が「今だ」として出て来たのです。

私たちの世代が旧漢字に接した最後の世代でしょう。こんなページからはじまっています。

旧字のまま文字写しをしておきます、

解 題

 『戰争と平和』が量に於ても質に於ても、はたまた取材の範園に於ても、世界文學中ホーマーの『イリアッド』と比肩するに足る一大叙事詩である事は、今さら異議をさし挟む餘地もない既定の事實である。この作は千八百五年から千八百二十年に亙る、ロシヤ歴史上重要な時期を再現したもので、ボロヂノの戰、ナポレオンのモスクワ占領、モスクワの炎上、フランス軍の退却など、ロシャ國民にとって忘れることのできない記憶すべき大事件が、極めて詳細に描寫されているのみならず、アレクサンドル一世、ナポレオンの二皇帝のほか、幾多の史上人物が物語の舞臺面に現われて、讀者の眼前に活躍するなど、スケールの雄大なことは真に匹儔を見出すことができないほどである。しかし、『戰争と平和』は單にいわゆる歷史小説であるのみならず、波瀾と變化に富んだ傳奇小説であり、甘美な戀愛小説であると同時に、人生最深最奥の問題に解答を與える思想小説でもあり、その構成の複雑多端なこと世界の文學中他に比類なく、大トルストイの藝術的創造の頂點を形作るものである。
 トルストイがこの創作に着手したのは、彼がモスクワの醫師ベルスの娘ソフィヤ・アンドレーヴナと結婚して、自家の領地ヤースナヤ・ポリャーナに新家庭を作り、この上もない幸福と、輝かしい希望と、明るい平静な心境を楽しんでいた千八百六十四年、即ち、文豪が三十六歳の時であった。静かな田園の風光、若く美しい賢明貞淑な妻、充ち足りた生活、長い放浪と模索の後に

 

21世紀の「戦争」の推移を見つつ、19世紀の「戦争」を読みすすめてみます。「戦争と平和」を考え抜き平和を生み出さなければなりません。