『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。
今週は、日本テレビのドラマ「ドン・キホーテ」について書いています。
これ、略すときは、やはり「ドンキ」なのか。
今どき、「ドンキ」と聞くと、あの店しか思い浮かばないが(笑)、番組イメージとしては、どうなんだろう。
肝心の入れ替わり場面が
手抜きだった「ドン・キホーテ」
手抜きだった「ドン・キホーテ」
先週から始まったドラマ「ドン・キホーテ」(日本テレビ)。
突然、暴力団組長(高橋克実)と児童相談所職員(松田翔太)の身体が入れ替ったことで騒動が起きる。
第一印象は「また入れ替わり物かあ」という企画の貧困ぶりだ。
古くは大林宣彦監督の映画「転校生」。
娘の身体に母親が入ってしまう東野圭吾原作「秘密」(テレビ朝日)。
また父と娘が入れ替わる「パパとムスメの7日間」(TBS)もあった。
「入れ替わりドラマ」の面白さは、年齢や立場の違う2人が誰にも悟られずに(というか理解してもらえない)お互いを演じ続けようとする“無理”にある。
ただ、ヤクザと公務員の組み合わせに意外性はあるものの、外見と中身のギャップもすぐに見慣れてしまうのが難点だ。
また初回での最大の不満は肝心の入れ替わり場面があまりにあっさりしていたこと。
同じアパートの異なる階の廊下に2人が立っていて、空を怪しい雲が覆っただけでチェンジしてしまった。
2人がどうして入れ替わったのか、どうしたら元に戻れるのかは、この手のドラマの重要なポイントだ。
手抜きはいけない。
物語は今後、ヤクザになった松田より児童福祉司になった高橋の動きが軸になる。
子供たちが直面する笑えない現実を、いかに笑えるドラマにしていくか。
脚本家の力量が問われるところだ。
(日刊ゲンダイ 2011.07.11)