『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。
今回は、先日のアナログ終了・地デジ化達成について、書かせてもらいました。
「地デジ化」達成、さて内容は
二十四日正午、東北三県を除く全国で、番組のアナログ放送が終了した。
では、完全にデジタル化された日本のテレビは、私たちに何を見せてくれるのか。
そう思いながら、この日の午後の各局を眺めていた。
驚いたのはフジの「FNS27時間テレビ」だ。
スタジオで行われていたのは「レディース相撲」である。
木下優樹菜と鈴木紗理奈が、まわし姿で組み合い、髪だけでなく胸まで掴んだりする珍勝負を、男性タレントたちがはやし立てていた。
また、その後の中継ではマツコ・デラックスと仙台放送の新人男性アナウンサーが登場。
二人が互いの股間をさわり合う様子を延々と映し出して、呆れた。
この生中継はあの南三陸町からなのだ。
ふと当たり前のことに気づく。
地デジ化は「電波の送り方」の変更に過ぎないのである。
その電波を使って「何を流すか」は問題にもされていない。
高画質も高音質も結構だが、大事なのは中身だ。
地デジ化達成のその日に女相撲や被災地でのオフザケを見せようとするセンス、それで視聴者が喜ぶと思っている認識があまりに情けない。
完全デジタル化とは、地上波がBSやCSと横並びとなって視聴者から厳しく選択されるということでもある。
高画質・高音質で「これまで通り」を繰り返す地上波テレビを、視聴者はどう判断していくのだろう。
(東京新聞 2011.07.27)