ピカピカのあの時代、空気も再現
マクドナルド「僕がここにいる理由」編
舞台は1971年、銀座の歩行者天国だ。デート中の女子中学生(宮崎美子さん!)の前に、日本に上陸したばかりのハンバーガー、しかもビッグマックが置かれる。
でも彼女は手をつけず、気まずいままデートは終わってしまった。
半世紀後、かわいい婦人(宮崎さんの2役)が、そんな思い出話を孫にしている。食べなかったのは、「だって恥ずかしいじゃない。好きな人の前で、こんなでっかいの」。
だが、じいじい(村上ショージさん)の前なら、「ぜんっぜん平気!何でだろ?」と笑う。そこで孫の少年は気づく。ビッグマックがもう少し小さかったら、自分はここにいなかったのだと。
この新作CMにはいくつもの驚きがある。まず、少女を演じて違和感のない宮崎さん。大学4年生だった80年にカメラのCMでブレークした時と同じ髪型が心憎い。
さらに、時代の再現性の高さだ。銀座1号店はもちろん、街並みや行き交う人のファッションも含め、70年代の空気に満ちている。
ずっと変わらず愛される場所。50周年にふさわしいメッセージだ。
(日経MJ「CM裏表」2021.08.09)