碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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マックCM「宮崎美子」ピカピカのあの時代、空気も再現

2021年08月14日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

ピカピカのあの時代、空気も再現

マクドナルド「僕がここにいる理由」編

 

舞台は1971年、銀座の歩行者天国だ。デート中の女子中学生(宮崎美子さん!)の前に、日本に上陸したばかりのハンバーガー、しかもビッグマックが置かれる。

でも彼女は手をつけず、気まずいままデートは終わってしまった。

半世紀後、かわいい婦人(宮崎さんの2役)が、そんな思い出話を孫にしている。食べなかったのは、「だって恥ずかしいじゃない。好きな人の前で、こんなでっかいの」。

だが、じいじい(村上ショージさん)の前なら、「ぜんっぜん平気!何でだろ?」と笑う。そこで孫の少年は気づく。ビッグマックがもう少し小さかったら、自分はここにいなかったのだと。

この新作CMにはいくつもの驚きがある。まず、少女を演じて違和感のない宮崎さん。大学4年生だった80年にカメラのCMでブレークした時と同じ髪型が心憎い。

さらに、時代の再現性の高さだ。銀座1号店はもちろん、街並みや行き交う人のファッションも含め、70年代の空気に満ちている。

ずっと変わらず愛される場所。50周年にふさわしいメッセージだ。

(日経MJ「CM裏表」2021.08.09)