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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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綾野剛はやはりハードボイルドが似合う! 「アバランチ」も「MIU404」と並ぶハマり役

2021年12月10日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

綾野剛はやはりハードボイルドが似合う!

「アバランチ」も

「MIU404」と並ぶハマり役

 

先月下旬から第2部に突入した、綾野剛主演「アバランチ」(カンテレ制作・フジテレビ系)。残りの回数も少なくなり、物語は加速している。

アバランチ(雪崩を意味する英語)は、警察が手を出せない悪を打ち砕く秘密集団だ。

警視庁特別犯罪対策企画室の山守(木村佳乃)が集めたのは元公安の羽生(綾野)、元爆弾処理班の打本(田中要次)、ハッカーの牧原(千葉雄大)らくせ者ばかり。悪徳政治家や財界人などを、ネットも駆使しながら潰してきた。

だが、本命の巨悪は元警視庁警備局長で内閣官房副長官の大山(渡部篤郎)だ。3年前、大山は日本版CIAを創設するために偽装テロ事件を仕組んだ。その犠牲となったのが羽生の先輩で、山守の婚約者だった藤田(駿河太郎)だ。アバランチはその復讐戦でもある。

このドラマの綾野は、昨年の「MIU404」と並ぶハマり役。今年春の「恋はDeepに」では巨大不動産企業の御曹司だったが、やはりハードボイルドがよく似合う。自分が信じる「正義」のために命を張る男が漂わす、ぬぐい切れない虚無感も大きな魅力だ。

加えて、敵対する渡部が惚れ惚れするほどの悪役ぶりだ。他者を恫喝する時の怒りを抑えた表情や、突然不気味な笑顔に転ずる瞬間など、思わずゾクッとする。羽生たちが大山にどんな落とし前をつけさせるのか、見届けずにはいられない。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2021.12.08)