碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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『魔改造の夜』に見る、モノづくりニッポンの底力と可能性

2022年09月01日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「魔改造の夜」

(NHK・BSプレミアム)

「モノづくりニッポン」の底力と可能性

 

20日と27日、2週連続で「魔改造の夜」(NHK・BSプレミアム)の新作が放送された。

魔改造とは「リミッターを外し、大人気ないパワーのモンスターに改造する行為」だ。

これまでポップアップトースターで食パンを高く飛ばしたり、太鼓を叩くクマのおもちゃに瓦割りをさせたりしてきた。

第5シリーズの今回は、「ネコちゃん落下25m走」と「電気ケトル綱引き」だ。

前者は、歩くネコのおもちゃを6mの高さから地上に落とし、さらに25m先のゴールまで走らせるというもの。

落下しても壊れない構造と、着地後すみやかに自走するシステムを持つスーパーネコちゃんの開発に挑むのは技術系有名企業3社だ。

競技が始まる前、各社への1ヶ月半にわたる密着ドキュメントが流されるが、これがすこぶる面白い。

方針の検討に始まり、設計、試作品作り、テストを繰り返す。何度も壁にぶち当たるのだが、独自の発想と技術力で突破していくのだ。

また「電気ケトル綱引き」も同じ3社が競い合った。ケトルが噴き出すわずかな蒸気をエネルギーにして綱引きをする怪物マシンたち。

中には思うように動かず落胆するチームもあった。

魔改造倶楽部顧問の伊集院光が「悪夢を見ていい場所で見られてよかった」と励ましていたが、各社とも「モノづくりニッポン」の底力と可能性を十分感じさせてくれた。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2022.08.31)