河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

ともしびをかかげて

2010-02-18 23:30:49 | 読書(小説)
ローズマリ・サトクリフ、岩波書店。
子ども向けっても、ホントに深いお話。
ローマ帝国が、ブリテン島から去り、
サクソン人が海から攻めてくる頃の話。
ブリテン人として、ローマに帰らずに残り、
サクソン人に対抗して戦ったアンブロシウスに仕えた
青年アクイラ。
「第九軍団のワシ」のマーカスの子孫ってことで、
続編に当たるらしい。
歴史ではほとんど光の当たらないこの時代。
これから闇になろうとする、夕焼けの時代。
そんな中、ともしびをもって次の朝をめざすのが、
歴史に名の残ることのないアクイラたちだ。
タイトルが心憎い、滅びの物語。
ついでに、妻との確執や、息子とのすれ違いがリアルで、
アクイラが全く良い夫でもなく父でもないところが面白い。
そして、もう一つの主題、妹フラビアへの愛情が、
この殺伐とした話に彩りを添える。
コメント
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