河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

もう牛を食べても安心か

2007-07-20 20:43:02 | 読書(その他)
福岡伸一、文春新書。
買ってみたけど、放置していた。
BSE関連の新書って、中村靖彦のもあった。
マスコミ、というか消費者から見た本だったけど、
こちらは、分子生物学者。
この間読んだ「生物と無生物のあいだ」は面白かったけど、
これは、BSE問題のつっこみなので、全然違うな。
プリオンが、不安定な「説」であることはよく分かったが、
食べた後の機序とかは、やっぱり詳しくないみたい。
まあ、生き物の体は、まだまだ未知の機序がいっぱいある
ブラックボックスなのだから、慎重に行きましょうよ、と
大海に石を投げ入れるようなものではあるが、そういう意図の本。
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切れない糸

2007-07-12 22:43:57 | 読書(小説)
坂木司、東京創元社。
引きこもり3部作のひと。
いろいろなシチュエーションが、そっくり。
男二人、探偵役が料理好き、相方は、頼ってるつもりが頼られたり。
日常のミステリーが4話、最初の登場人物が、2話、3話と続くにつれ、
すっかり常連になって登場、というところも。
今度の舞台は、クリーニング店。
荒井さんちのアライクリーニング店。
突然なくなった父の跡を継ぐべく、商店街に戻った大学4年の和也。
家(店)には、母、クリーニング師のシゲさん、パートの松竹梅3おばさん。
近所には、喫茶店を預かる友人の沢田。
沢田が、ゆりかご探偵みたく謎解きをする、と。
商店街という、今時の若者にはうっとうしい世界でがんばる和也はいいとして、
沢田の性格がいまいちつかめなかったけど。
しげさんの昔の仕事を当てるのには無理があったと思うけど。
まあ、こんなもん?
しらない雑学を得るのは面白いけど、それだけかも・・・
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黄色い目の魚

2007-07-10 22:46:12 | 読書(小説)
佐藤多佳子、新潮社。
映画「しゃべれどもしゃべれども」を見てみたいけどその前に一つ読んでおこうと思った。
連作短編、と言っていいのか。
こんなに青春ラブストーリーとは知らなかった。
ラブラブぶりがあれに似てる、えと、映画になったやつ。
お父さんは今日でお父さんをやめようと思う。ではじまるやつ。
それって単に中高生だからか?まあいいや。
最初の、離婚した父に初めて会って、絵を描くことを知る少年の話と、
二つめの、まっすぐな気持ちを曲げることができなくて屈折してしまう少女の話が良かった。
そしたら、この二人が出会って。
誰にも分かってもらえないようなことを、分かってくれる永遠の相棒。
みたいなのが、テーマかな。
そんな人に一生の内に会える人、会えない人。
・・・ラブストーリーだねえ。
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生物と無生物のあいだ

2007-07-08 21:18:25 | 読書(その他)
福岡伸一、講談社現代新書。
うおう。
すごい面白かった。
久しぶりに生物学の講義を受けた気分。
高校生や大学生の頃に聞いたDNA発見の歴史の続き。
思い出話のようで、昔話のようで、でも、ちゃんと主題から外れず。
こういう生命の不思議、みたいなのが大好きで生物学学んだんだっけ。
あんときの、生きてるって不思議だ~知りたいぞ~という気持ちを思いだした。
養老孟司の本にも、生物の体を構成する物質は入れ替わって同じ部分などない、
って書いてあったけど、この本読んで、細胞という形を維持したまま、物質だけ、
原子だけ入れ替わるのだ、ということが、ようやく理解できた。
てえことは、プリオンは食べたら、どうして脳にだけ行くの?
わあ気になる。
この人の「もう牛を食べても安心か」買って積読だった。
よまなきゃ・・
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日の名残り

2007-07-07 21:15:36 | 読書(小説)
カズオ・イシグロ、中央公論社。
この人の本は、初めて読んだ。
だから、笑える部分があるんだけど、
笑いを取ろうとしてやってるのかどうかよくわからん。
でも、かなり良かった。かなりの完成度と思う。
何で読もうと思ったのか・・・思い出した。
前に読んだ、執事と少年の金鉱堀のはなし。
ゴールド・ラッシュだっけ、あれの解説か何かになかったか。
大人向きだけど、「執事」のことがかいてある本だ、と。
てなわけで。
執事です。
語り手の執事のスティーブンスが休みをもらって、
以前女中頭をしていたミス・ケントン(ミセス・ベン)に会いに出かける。
道中で、1930年代の思い出が語られる。
執事とは、こういうものだ!
という感じかな。
「主従」という言葉では表現できない諸々が、
主人と執事の間には、あるのだ。
堅物過ぎる主人公が、当時、見過ごしたといっていいのか、
手に入れなかった恋のおはなしがもう一つの流れ。
幸せになった女性を見送り、ラスト、老人が主人公に語りかける。
夕方が、一日の中で、いちばんいい時間だ、と。
仕事にかまけ、父の死を看取れず、ミス・ケントンのアプローチに事務的に答え、
ダーリントン卿が選ぶ道を、黙ってついて行く。それが、没落の道であろうと。
後悔してもどうにもならない人生を、悔やんで振り返るのではなく、
前向きに楽しむのだ。
老人の言葉が、切ない執事の人生を、
ガス灯のような明かりで、その残りを照らす。
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