河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

千年の祈り

2008-09-02 22:04:28 | 読書(小説)
イーユン・リー、新潮クレストブックス。
アメリカ在住中国人の英語で書いた物語集。
ほかの言語だと、しゃべれる。という感覚が私には分からない。
口べたなので、英語でもやっぱり何を話したらいいか分からないので。
ここに出てくる登場人物たちは、無口だったり、
他人から分かってもらえなかったり、孤独だったりしている。
「千年の祈り」の父も娘もそう。
彼らは、しゃべりたいことはあったが黙っていた。だから雄弁なのだ。
収録作:あまりもの/黄昏/不滅/ネブラスカの姫君/市場の約束/息子/
縁組/死を正しく語るには/柿たち/千年の祈り
いかにも中国らしいのは「不滅」。中国人でなければ書けない。
みんなそうなんだけど、これはかなり独特。
アメリカでそれっぽく暮らしていても、国に戻れば、1国民なんだよなあ。
中国本土で書いた中国文学を読んだことがないので(西遊記とかは別)
この文学が、どれほどの差があるのか分からない。
ただ、中国人が、この小説で1人の人間として評価されたのなら、
なんかうれしいな。アメリカで、だけど。日本ではどうかな。
コメント
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