ロアルト・ダール、ハヤカワ文庫。
飛行機乗りの短編集。
ロアルト・ダールといえば、
「チャーリーとチョコレート工場」だけど、
これは、読み口は軽く、ちょっと中身は重い、戦争の物語。
サン=テグジュペリ「南方郵便機」を思い出す。
宮崎駿の「紅の豚」の私の好きなシーンは、
この中の「彼らに歳は取らせまい」そのまんまだった。
飛行中、雲の中に入って、出られなくなり、
ぽかっと抜け出た青い空間の遠くに、飛行機の群れが見えた。
死んだパイロットとクルーたち、ありとあらゆる機種の飛行機。
「人を殺す」のが仕事の飛行機乗り。
酒に酔い、狂い、怪我して生き延びた者、
死んだ息子を思い亡くなる母親、
家族を殺した飛行機に立ち向かう九歳の少女。
なかなか重かったなあ。
マガポケで途中まで読んで気になって、
えいやっと古本で。後悔はしていない。
これって少女漫画なん?
平安時代が舞台のお話。虫愛づる姫、チコ姫と、
上達部の次男だけど内裏で働く青年貴族、享。
ちょっと風変わりな姫が友達に送った文を、
誤って享が受け取り、文の内容に惹かれて
正体を隠して返事をしたのが、物語の始まり。
と書けばロマンチックなように思えるが、
実際は、登場人物らは現代語を駆使してしゃべくり、
そのくせ平安時代の生活の実態をリアルに紹介して
くれたりする珍作品。怪異は普通に出ます。
チコの文の内容、みんな虫を怖がるけど、
虫からしたら人間の方が怖いんじゃないか、みたいな。
変わった子が愛されて育って、幸せになるの、よかったねえ。
ついでに坊さんも救われて、よかったよ。
8巻あるけど、「君の名は」状態で、近くまで来るけど、
なかなか出会わない。
お互いが、お互いのことを、わからないのになんとなく探している。
出てくるキャラがほぼ表裏なくストレートな人ばっかりで
なんかみんな好きだわ。絵も見やすい。
知的好奇心を満たしつつ、ギャグはオタクならもっと面白いのかも?
カバー裏の現代人バージョンは、誰かわからんひとがいました。
宮部みゆき、角川書店。
三島屋変調百物語八之続。
「賽子と蛇」
「土鍋女房」
「よって件のごとし」
日本土着の物語のアレンジとかではなさげな
とんでもない異世界と繋がる話が、1つ目と3つ目。
神様の賭場で働くことになった少年の語り。
代々渡し船の船頭をする兄が縁談を断る理由を妹が語る。
池の底で繋がる別の世界でのゾンビ退治の結末。
語り手がいるから、生還したのはわかるが、
それでもハラハラする展開が続く。
そして、おちかから引き継いだ富次郎の百物語も
一旦休止となる、というところで、了。
もう九之続が出てたから、どうなってんだろうねえ。
これも2冊目だ。
サンデーうぇぶりで連載追っかけてるはずなのに、
ご飯うまそうとか違うところ見てるせいか、
続けて読むと、結構進んでて、こんな話やったんか、
と思ってしまう。
カバーめくったとこの小ネタが面白かった。
寝相とか設定細かすぎ。
表紙がこの二人なのはちょっとびっくり、
姉弟とか他にもいるのに、そっちが先かと。