遊びをせんとや

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アルブレヒト・デューラー「あなたは誰?私はここにいる」

2011-11-13 07:35:37 | ブックリスト
授業で描画で「手のクロッキー」をする。
その導入で資料集のデューラーの手の版画を
提示して見せた。


                     


「どう思う?」「どう感じる?」と聞くと

「上手い絵だと思う。」「細かい所まで良く描けている」
とか「光が当たっているところが白くなってる。」と
優等生的な答えが返ってくる。

私が一番に思ったのは「この手はどんな人の手なんだろう?」
だ。
描かれていない顔はどんな顔でどんな職業の人だろう?
どんな年齢の人なんだろう?
男か女か?

手のポーズからするときっと祈りをささげている
手なんだ。
しわだらけだからあんまり若くなくて
農民かもしれない。
どちらにしてもよく働いてきた人の手だと感じた。

そこで手にした姜尚中の新書
「あなたは誰?私はここにいる」


                       



の中にこのデューラーのこの手の版画に触れている
一説にいきあたった。

この手はデューラーの友人の手で
貧乏な中で画家になるために交替で働いて
お互いを援助しようと言う事になった。
先に働いた友人に
画家になったデューラーが交替しようと
申し出たがその友人は申し出を断ったという。
そのお礼に描いた友人の手のデッサンだそうだ。
なにぶん寓話めいているので実話ではないと
本の中には書かれている。

私が「良く働いてきた人の手」と思ったのは
あながち間違いではなかったようだ。

この絵はドイツの各家庭に十字架の代わりに
よく掛けられていたそうだ。

なるほど「労働と祈り」
これほど端的に表している絵はない。

姜尚中さん
日曜美術館の落ち着いた語り口は
地味ながらとても示唆に富んでいて楽しみにしていた。
でも突然の降板
残念だった。

ダンナのいうのには上野千鶴子女史に
「そんな悠長に絵の話をしている場合ではないでしょう。
あなたにはもっと政治でやることがあるでしょう。」と
新聞紙上でたたかれたせいだというのだ。

なんとも野暮な発言である。
だからこの国はいつまでも成熟しないのよね。


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