中学一年生になった私は、通学に慣れてきました。
焼け野原になった浜松。
街の大通りの焼け残ったビルを改築したり,新築の店舗を建てる。
街の復興(ふつこう)が始まっています。
市内で一番、賑やかな田町は、
通りの両側にお祭りの夜店のように屋台がズラリと並んでいました。
やがてバラックとはいえ、商売の店が建ち始めました。
田町の真ん中に建った市場の中に,
子供や中学生を相手の駄菓子屋のようなオモチャ屋のような店が出来ました。
小さいときに、父親に買ってもらったオモチャカメラがありました。
カメラと,黒い紙に入ったフィルム,赤いガラスチューブに入ったMQ現像薬、
青いガラスチューブの定着薬を買いました。
それをどう使ったのか記憶がありません…。
父親は,京都で仕事が復活したので,単身赴任で京都へ出かけました。
浜松へ帰ってくるときの土産は中古のベス単でした。
このカメラのフィルムサイズは,ベスト判です。
… … …
この中古のベス単は35㍉用に改造されていました。
ベスト判のフィルムと巻き上げ側の空スプールの代わりに、
35㍉フィルムのパトローネが両側に入ります。
裏紙つきベスト判フィルムの入るところに、35㍉フィルムの入った
パトローネ(ベスト判フィルムの太さに合わせたパトローネ)を入れます。
巻き上げ側には空のパトローネを入れてフィルムを巻き上げていきます。
勿論,自動巻き上げストップなどではありません。
35㍉フィルムのパーフォレーションに爪が当たるような構造が
フィルムゲートに付いています。
フィルムを装填してカメラ巻き上げノブを少し廻すと,
「パチッ」
と音が聞こえます。その音を八つ数えるまでノブを巻き上げます。
すると、画面一コマ送ったことになります。
シャッターを切って
「パチッ,パチッ,パチッ,パチッ,…」
フィルムを巻き上げながら音を八つ聞いて
シャッターを切る。
この手順をしっかり守らないと,二重露出や、素抜けなどができて
フィルムはえらいことになります。
… … …
撮影後のフィルム現像、気に入ったネガのプリント仕上げもどうしていたのか、
簡単な密着プリンターがあったような気もするのですが、すっかり忘れています。
… … …
ブロニー判(6×6)二眼レフカメラで35㍉フィルムを使う道具に
ローライフレックスにはローライキン,
国産のリコーフレックスにはリコーキンがありました。