下鴨泉川町に住むようになりました。
覚えていた昔の道を歩いてみます。
小さい頃、下鴨神社の境内で遊んだ秘密の場所もそのまま残っていました。
小さい頃は大きな秘密の場所だったのに,5年ぶりにいってみると、
なんと小さな場所でした。
参道を南に歩いて神社の外へ出ます。
右へ曲がって歩きますと,葵橋(あおいばし)です。その橋を渡ると
河原町今出川の市電の交差点に出ます。賑やかな街が始まります。
京阪電車の京都側終点で「出町柳」駅があるところです。
出町柳の古本屋に、少年少女世界文学全集のセットをばらして売られていました。
その中のアレクサンドル・デュマの「巌窟王」がありました。
その少年少女用の「巌窟王」を読むのですが,粗筋が書かれているだけで,
わくわくするスリルがありません。
下鴨神社の近く森本町に、下鴨小学校に一緒に通っていたT君がいました。
5年ぶりの再会です。
彼は古い大きな屋敷に住んでいて,
書斎になんと大人の文学全集が並んでいます。
そのなかに、「モンテクリスト伯、上下」がありました。
1頁上下二段組みの、上下二巻です。
… … …
エドモン・ダンテスは めでたい婚約披露宴の最中に、逮捕されて,
孤島の牢に投獄される。
隣の牢にいたファリア神父の助けで嵐の晩に脱獄を企てる…。
… … …
日が暮れて,夕ご飯が近づくまで、
暗くなって文字が読めなくなるまで、
気を散らすことなく本が読めました。
いまのように学校から帰ってもゲームも無く、テレビもありません。
何もすることがありません。本を読むだけが楽しみでした。
大人の「モンテクリスト伯」は,手に汗握るスゴイ展開のストーリーです。
少年少女の文学全集では味わえない重厚なストーリーでした。
つくづく、大人の本を読まないとダメと思いました。
… … …
しかし、少年少女文学全集を読まなければ,
大人の本を読もうと考えませんでしたから、
文学の入り口になりました。