染織工房きはだや 「店主の独り言」

きはだや店主が今日の出来事を語る。喚く。話す。切る。
でも日記は苦手。
皆様の気軽なコメントをお待ちしています。

魯山人の寄稿に触れる。

2011年10月31日 | 店主の一日

 

本を片付けています。七年前の中越地震の際にきはだや本社から染め場に移してそのままにしてあったものです。雑誌や色見本帳がほとんどですが、業界雑誌やその他の本もたくさんあります。それなりに場所もとるし、この先に見る機会も薄そうなので重い腰を上げました。それでも、自分が生まれる前の雑誌となるとおいそれと捨てるのも申し訳無く、時々開いてみたりします。

ミセスや美しいきものも随分あります。~重い。昔から紙の質はいいようです。

 


写真は昭和42年のミセス1月号表紙は当時の白川由美さん今の二谷安基子さんです。(二谷英明さんの奥様で二谷友里恵さんのお母さんですね)

他にも文芸誌や美術雑誌もあります。

なかなか面白いのが「みずゑ」なる美術系の雑誌です。ピカソやルソー、セザンヌなどの絵が月ごとのテーマに合わせて載っています。この写真がとてもきれいです。そして(多分)美術評論家がその生涯について書いたり、評したりしています。読むと実に面白いです。40年後の今となっては当然の解釈になっているのかもしれませんが、その手の事を全くわかない僕にはひどく新鮮です。

1953年の号に北大路魯山人が寄稿したものがありました。

民芸に大きく影響を与えたバーナード・リーチの大規模な新作陶器展が上野松坂屋で開かれた時のもの。


「英国人だけあって非常に理智的なものを感じますが、然しその反面、芸術に於いて最も大切であり、必要欠くべからざる情熱的な面が非常にとぼしいように思われました。つまり、作品が大味で、限られた一種の趣味性が強く、大きな芸術性というものが感じられなかったのです。」更に陶器の本当のよさを理解しない人にはこれでよいが、陶器のよさを理解するひとにはものたりず、20年前の彼の作品からも進歩がなく残念と書きたい放題です。あはは。

この雑誌、結構辛辣な雑誌かと思ったら別にそうでもなく、「なるほど、魯山人ってこんな感じだったんだ」と実感しました。魯山人の寄稿を集めた本もたくさん出ていますが、こうして、雑誌のものを直接見るのも楽しいものです。

他には川北倫明氏辺りの評論が多くあったり、岡本太郎のパリ便りみたいのもあって面白かったです。この雑誌は一応、もうしばらく置いておく事にしました。

こうして、本は一向に片付きません。。

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白きたおやかな峰~北杜夫追悼

2011年10月30日 | 店主の一日

何年か前に夢枕獏氏の「神々の山嶺」を読みました。あとがきだったかに、獏氏が編集者だったかに「新田次郎氏が亡くなってから山岳小説作家がいなくなっている」と言われて神々の山嶺を書いたみたいな事が書いてありました。

雄大な風景描写と細かな心理描写の塩梅がよく、スピード感を持った読み応えのある小説でした。でも残念ながら、それは新田次郎氏の書きつづけたアルピニズムを踏襲するものであったように思います。

北杜夫氏が亡くなりました。大歌人、斎藤茂吉の子と言うだけで驚いてしまいます。

僕は「ドクトルまんぼう」も「夜と霧の隅で」も読んだ事はありませんが、「白きたおやかな峰」は何度も読みました。読みたい時に捜すと見つからないので、文庫本を何冊も持っていると思います。本人がデュラン登山隊に医師としていった時の経験を基に書いたと言われています。アルピニズムとチームワークとそれを取り巻く環境を細かく描いた本です。大変に示唆の多い傑作と思います。今回の新聞の追悼集にはちっともこの本の名前が出てきませんでした。と、言う事はもしかしたら「ドクトルまんぼう」は「白きたおやかな峰」を遥かに上回る傑作なのかも知れません。早速、明日、買ってこなくてはなりません。

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お礼~コメント拝読

2011年10月28日 | 店主の一日

「シャイな男」様、「まさみん」様、コメントをいただきありがとうございました。

すっかりブログをさぼってしまい、すいませんでした。

お二人が「機械的に」「少しの希望を持って」見ていてくださった様子を思い、申し訳ない気持ちでいっぱいです。僕もかつて少なからずそう云った経験がありますので、その空虚さを思い、自分でもヒリヒリした気持ちになりました。余りの申し訳なさに、初めはコメントの文章をしっかり読む事ができず、粗読みして閉じてしまいました。長くの不義理をお詫び申し上げます。

実の所、お陰さまで大変元気でございます。それを「何故、ここまでブログを書かなかったかと?」申しますと、それなりに理由があるような、無いような辺りが実際です。

今回、ブログのページデザインを変えたたのですが、昨年まで作っていて、しばらく休んでいた「六花便り」をまた出す事にいたしました。昨日からその原稿を書き始めたので、なにか自分の中の決め事として、ブログの表紙を変えました。

こうして僕の拙いブログを期待していただいた方がいらっしゃるのはとても嬉しい事です。それほどエキサイティングな日常でもありませんので、時々、同じネタが出てまいりますが(特に夏至の日ネタとか)何とぞ、ご勘弁をいただき、これからもおつきあいいただければと思います。

ありがとうございます。今日、このページを開いてくださった皆様に心よりお礼申し上げます。

 

きはだや店主

 

コメント (2)
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