内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

ヴァカンス初日、この夏一番の暑さ、なぜか『憲法主義』を読む

2014-08-03 23:15:00 | 雑感

 昨日までの五日間の集中講義は冷房のよく効いた快適な環境の中で行われていたから、その中にいるかぎり、思考を集中させることもできた。滞在先の実家でも、冷房をつけていれば、読書をし考えをまとめることもできないわけではなかった。しかし、今日は、かねてからの約束で下北沢のフレンチ・レストランで昼食を取り、その後買い物のために新宿に移動したのだが、その間、外を歩いていると、もう脳髄が沸点に達するかのような暑さで、昨日までで仕事が終わったことによる安堵と、先月中旬の引っ越し以来蓄積した疲労とのせいか、渋谷からの帰りのバスの中で抗いがたい睡魔に襲われ、危うく乗り過ごすところであった。夕方以降も一歩も外に出る気になれなかった。母親に頼まれて、庭の水撒きをしたが、血に飢えた蚊たちの総攻撃に遭う。お前たちに献血しなければならないいわれはないと虚しく怒る。
 そんなこんなで、一人ぐったりとして、室内でだらだらしかけていたのだが、今日アマゾンから届いたばかりの『憲法主義 条文には書かれていない本質』(PHP研究所)を読み始めて、目が覚める。気鋭の法学者南野森がAKB48の内山菜月に憲法の本質を講義するという趣向なのだが、新聞の書評を読んだときには、どうせ内山菜月本人が本当に質問しているわけではなく、用意された質問を彼女がしていることにして、話題性で売ろうとしているだけなのだろうと、大して興味も持てなかった。ところが、天声人語に同書が取り上げられていたのを母親が見て、読んでみたいから注文してくれというので、先週発注したのだが、その時点では品切れ、入荷未定との表示。それだけ話題にはなっているのだろう。その本が今日届いたのである。読んでみて一驚する。内山菜月、ただものではない。勉強家というだけではない。実に聡明なお嬢さんである。可愛らしい応答に中に知性が光る。南野先生の講義もいい。ユーモアを交えつつ、憲法の勘所をしっかりと示してくれている。この本、ストラスブールの授業で教材に使おうか、と思う。
 実家から徒歩一分の中学校の夏期プール開放が明日から始まる。昨年夏も通った我が母校のプールである。思えば引っ越し直前にパリでプールに行って以来、もう三週間近く泳いでいない。これでは体調もおかしくなるはずである。明日から巻返しを図る。哲学はしばらく夏季休業です。