これから残りの夏休みを海外で過ごそうという人たちで混みあう羽田国際線ターミナル出発ロビーでこの記事を書いている。先ほど二つのスーツケースをJALのカウンターに預けたとき、二つで四十八キロになってしまい、本来なら超過料金を請求されるところだったが、幸いにも、「次回からお気を付けください」とにこやかに許してくれた。幸先の良い帰路である。
この夏の滞在は四週間足らずと、いつもに比べて半月ほど短く、会いたいと思っていたすべての人たちに会うことはできなかった。しかし、病気を抱え、毎週治療のために通院しながらも、それなりに元気にしていて、身の回りのことは体力の許すかぎり自分一人でこなしている八十三歳の母と、久しぶりに多くの時間を一緒に過ごすことができたのは幸いであった。いつまでも頼りにならず、心配ばかりかけている親不孝な息子である私は、そのような母の姿を見るにつけ、有り難く、勇気づけられるばかりであった。
体調さえ許せば、今年のノエルに今一度ストラスブールを訪ねたいという母の願いが叶うことを心より祈っている。妹夫婦も母に同行するつもりでいてくれる。
あと一時間余りで搭乗開始である。一八日の記事はパリからになる。