内的自己対話-川の畔のささめごと

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哲学的遺書を読む(10)― ラヴェッソン篇(10)魂、相互浸透的なもの

2015-12-21 00:00:01 | 哲学

 ラヴェッソンにとってのプラトニズムは、ライプニッツ的であることが以下の一節を読むとわかる。それぞれのイデアの中に他のすべてのイデアが映し出されているような世界像を描き出そうとしている。ラヴェッソンは、このイデアのモデルを魂のモデルに変換することを自らの哲学のプログラムとしていたと言うこともできるだろう。いわばイデアの世界を地上に取り戻そうとする大胆な試みである。この壮大な哲学的試論は、当時の実証主義の席捲に危機感を抱き、それに対抗する哲学を構想しようという動機にも支えられていた。すべてをばらばらな諸要素に還元しようとする実証的・分析的思考に対して、ラヴェッソンは、魂が本来的に相互浸透的なものであることを示そうとする。この点において、ラヴェッソン的思考は、ベルクソンへの哲学の生成にとって決定的に重要な契機をなしている。

 Les Platoniciens représentaient les idées dont se composait un monde intelligible comme étant telles que dans chacune se voyaient toutes les autres. Sans doute il en sera ainsi des âmes : elles seront comme pénétrables les unes avec les autres, sensibles aussi les uns aux autres, tout le contraire du séparatisme de l’heure présente (p. 118).