内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

集中講義第三日、私たちはなぜ何をいつどこで美しいと感じるのか ― 夏休み日記(17)

2017-08-02 23:19:00 | 講義の余白から

 今日は、びっくりするほど涼しい一日でしたね。
 午前中は、目白のG大学の国際交流センターに出向き、九月のストラスブール大学での研修の打ち合わせ。その後、学長にもお目にかかり、かねてより話を進めている大学間提携の進捗状況について若干話し合いました。正午にG大学のキャンパスを後にし、白山に戻り、午後一時から集中講義第三日目。
 学生たちにはその日の演習についてのコメントをその日の内に私とTAにメールで送ることを義務づけています。学生たちは演習の中で検討された諸問題についてそれぞれに自分で考えを展開しようとしていて、それを読むのはとても面白い。
 翌日の演習はそのコメントに私から応答することから始まります。そのコメントに含まれていた質問・疑問に答えたり、発展させたら面白いであろう論点について私の考えを述べたり、そこからさらに議論を発展させたりします。これに30から40分くらいかけます。
 それから、今日のメインテキストである中井正一『美学入門』を読む前の予備的考察として、シモンドンのMEOTの « Introduction » について注解し、リュッケン先生の中井論からいくつかシモンドンとの接点が見出だせる箇所についてコメントしました。
 『美学入門』については、最初の四節から自由に一つ論点を選んで、それについての発表を用意してくるように前日に学生たちに課題を出しておきました。結果として、今日は、残念ながら、ちょっと「消化不良」だったようです。皆、中井のテキストの論点を十分に踏まえずに、自分の問題関心を中途半端に示すだけに終わってしまっていました。毎日、かなりの量のそれぞれに内容の異なったテキストを読ませており、ちょっと要求過剰だったかも知れません。
 明日は、おそらく哲学科はじまって以来初の試みであろう校外実習を行います。これは今年の演習のテーマについて TA の I さんと昨年末に話し合ったとき、現代社会の技術の問題について論じるなら、何か具体例を対象とする機会があってもいいのではと、出たアイデアでした。彼女の提案で、東京国立近代美術館展覧会「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」を見学に行くことしました。その後、隣接する工芸館も見学した上で、どこか近所の喫茶店か何かで皆でディスカッションすることにしています。その後は食事会を予定しています。
 明日のことは、明日の記事でご報告させていただきます。