内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

集中講義第四日、建てること、住まうこと、生きること ― 夏休み日記(18)

2017-08-03 23:21:42 | 講義の余白から

 午前中、新学期からの講義で参照するテキストを神保町で探しました。そのいくつかは廉価で見つけることができ、かなり満足しています。ただ、探していた本を古本で安く見つけられることは嬉しいのですが、その値段があまりにも安いと、逆にちょっと悲しくなることもあります。
 例えば、今日、岩波の日本思想大系版『往生要集』の状態の良い本をわずか五百円で入手できました。並びの他の本屋では千五百円で出ていましたが、状態はそちらのほうが若干劣るのです。私が購入したのは岩波書を主に扱う古書店でした。その店の主人は、開店直後で忙しく立ち働いていましたが、私への対応がどこか投げやりに思えたのは、私の気のせいでしょうか。
 午後は、東京国立近代美術館の展覧会「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」を演習の出席者とともに見学しました。各自自分のペースで関心の赴くままに見て回りました。約二時間展覧会を見て回った後、美術館のラウンジで一時間あまり皆でディスカッション。戦後日本の家屋の系譜学を巡って、シモンドンの技術論とも絡めつつ、展示を見ての各自の感想を述べるところから始め、そこから自ずと広がる議論の輪を皆で愉しみました。
 教室を離れ、それとはまったく違った公的空間で、他の人たちがまわりを行き交う中で議論するうちに、私たちの間には、演習四日目にして、何かすでにいくらかの親密な空気が醸成されているのを感じました。
 その後、駆け足で工芸館の展示を見てから、神保町まで歩き、ビールバーのようなところで、お疲れ様の乾杯。一時間ほど歓談してから、場所替え。食事の場所を求めて、神保町界隈を少し歩き、ここにしようかと決めた台湾料理の店で三時間近く、談笑。楽しかった。
 でも、まだあと一日演習があります。学生たちは今頃自宅で明日の発表の準備をしていることでしょう。私もこの四日間の議論を踏まえての締め括りをこれから準備します。あっ、その前に少し酔を覚まさないと。