今朝、目立った症状はすべてなくなっていた。まだ少し咳が出るが、喉はもうほとんど痛まない。ただ、この五日間での体力の消耗は相当に激しく、運動ができる体に戻るにはまだ数日かかりそうだ。もうなんでも食べられそうだが、量は病気以前の半分くらいしか食べられない。これも徐々に回復するのを待つしかない。病気の話は今日で止める。
年末年始の帰国中、滞在したホテルでは夜よくテレビを観た。元日以降は能登半島地震関連のニュースを追うことが多かったが、年末はNHKで放映されていたドラマをいくつか観た。あるいはそのうちの一部をたまたま見かけて興味を覚え、オンデマンドで回を遡ってパソコンで全編を年が明けてから観た。その一つが草彅剛主演『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(前・後編)である。多数のろう者が出演しているこのドラマには心を深く揺さぶられ、多くのことを考えさせられた。丸山茂樹の原作(文春文庫)も年明けに購入し、フランスに戻る機内で読み終えた。
もう一つ興味深く観たのが『あれからどうした』(全三話)。最初に観たのが第二話で、それがとてもよかったので、第一話へと遡り、最後に第三話を観た。それぞれ一話完結だから、バラバラに観ても楽しめる。
三話観た後では、第一話が一番のお気に入り。飯豊まりえの演技が実にいい。制作スタッフの話によると、彼女のアドリブ力は卓越していたとのこと。実際、どこまでがセリフで、どこからがアドリブなのかわからないくらい自然でかつユーモラス。すべて場面にぴったりなのだ。
三話とも、登場人物たちの言っていることと実際の行動とは違っているというのが基本パターンなのだが、飯豊まりえ演ずる証券会社社員だけが、本当に自分の身に昨晩あったことを話しているのに、「よくできた話だねえ」とからかうような反応しか同僚から返って来ず、誰にも信じてもらえないという設定で、そこがまたおかしい。
無思慮で無益な帰国もまったく無駄だったわけではないのである。