田んぼを外から見ていると、緑の稲穂が出揃い風に揺れる姿が美しい。
中へ入るとタベ(稗)をはじめ、様々な雑草がはびこり、昆虫たちも盛んに活動している。
カマキリは稲を荒らす害虫を捕食する田んぼのハンターなので、たくさん棲みついてくれるとありがたい。
ウンカなどの羽虫を捕ってくれる蜘蛛も味方であるが、稲の葉を折り曲げて巣を張るので、光合成に多少の影響はあるかもしれない。
赤とんぼもたくさん飛んでいるが、敵か味方かはよく分からない。
稲の大敵のカメムシや芋虫、イナゴなども見かけるが、殺虫剤を使わないので野鳥やカマキリに任せるしかない。
スズメは籾が熟してくると食べに来るので、虫を捕るツバメほど好かれない。
この時期になると、ほとんどの雑草は稲の勢いに負けて稲の日陰で弱っていくが、タベだけは稲と競争してどんどん伸びていく。
何度も抜き取っているが、ここ数日の好天で隠れていたのがいっせいに伸びて穂を出した。
分けつして株になっているタベを、根元を掴んで引っこ抜く仕事は、ギザギザの葉で顔を擦ったり、葉先で目を突いたりして結構辛いし根気も要る。
炎天下の田んぼは、一頃に比べればしのぎ易くなったが、長時間に及ぶと仕事が雑になり、間違えて稲まで抜いたり取り残したりしてしまう。
何とか3分の1は終わったが、タベが種を落とす前に取らなければならないので、時間の余裕はあまりない。
抜き取ったタベを放置しておくと、実が熟して飛び散るので、焼却するか川へ捨てろと言われているが、まさかこの量を川へは捨てられないので、後日一まとめで燃すことにした。
久しぶりに仕事で汗をかいたが、農閑期でもないのに仕事場を離れると、ツケは何倍にもなってかぶってくる。