●やっと半分である。今回は一文(和歌)だが、ポイントは多い。関連事項も未然形接続関係、欲求表現など豊富。
●ちなみにツンデレ訳である。
傍線部に注目しよう(ついでに「来」の読みを考えてみよう)
23 来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを
【直前・実戦】
23 【現代語訳】 来るつもり(意志)だよとあなたが言っても来ない(打消)時があるんだから、来ないつもり(打消意思)だよと言っているときは来るかもしれない(推量)なんて待ってあげるつもりなんかない(打消意志)んだからね。来ないつもり(打消意志)だよって、あなたが言っているんだもん。
【ポイント】
① 歌中のカ変動詞「来」はすべて未然形なので「こ」と読む。
接続している助動詞が未然形接続だから確認のこと。
ちなみにこの読みができた人はおいらの浪人の6月よりレベルが高い。なんの根拠もなく「き」をなんとなく寂しいからという理由で入れてしまったのだ。ちなみにこの和歌を例文に授業を展開されたのは木村博師である。訳がツンデレ訳でないことは言うまでもない。
② 「ものを」は文中なら接続助詞で逆接。現代語なら「ものの」。「ものを」は文末なら詠嘆の終助詞。今回はツンデレっぽくするために詠嘆にしました。ここでの「もん」は「もの」と同じで「ものを」が語源。
【参考】
未然形接続の推量・打消の助動詞
★未然形接続助動詞まとめ
【確認】「る・らる」 「す・さ・しむ」(主語が当事者ではない系統の未然形接続助動詞)
●未然形には「まだそうなっていない」という意味がある。「未=いまだ~ず」 ※已然形の「已」=「すでに」
◆「ず」
・活用
ず ず ず ぬ ね
ざら ざり ざる ざれ ざれ(ラ変型・「ずあり」が語源、直後に助動詞がくることがある)
(「ず・ず・ず」「ぬ・ね」「ざら・ざり・ざる・ざれ」の三つの要素で構成されていると考えると暗記しやすい)
・意味と訳 打消「ない」
☆「ぬ」の識別
・【未然形+ぬ】【連体形の「ぬ」】は打消
※連体形の下には「を・に・の・は・名詞」が来ることが多い
・「死・往・去」+ぬ・・・ナ変の活用語尾
・【連用形+ぬ】【終止形の「ぬ」】は完了の助動詞
☆「ね」の識別
・【未然形+ね】【已然形の「ね」】・・・打消の助動詞
※打消の「ね」の三大パターン
【未然形+ね・ば(ないので)】【未然形+ね+ど・ども(ないけれども)】【・・・こそ~未然形+ね。】
・【連用形+ね】・・・完了の助動詞「ぬ」の命令形
・「死・往・去」+ね・・・ナ変の命令形活用語尾
◆「む」参照
◆「じ」
活用
〇 〇 〇 じ じ じ 〇(無変化型・係り結びの結びになるから活用はある。助詞じゃないよ)
・意味と訳(「む」の打消)
打消推量(ないだろう)
打消意志(ないつもりだ・まい)
※ 参考「む」「べし」「じ」「まじ」の関係
(弱い) 【未然形+む】 「む」の打消 【未然形+じ】
(強い) 【終止形+べし】 「べし」の打消【終止形+まじ】
・未然形接続は実現度が低く、終止形接続は実現度が高い
◆「まし」(反実仮想「もしも・・・としたら~だろうに」)(ためらいの意志「しようかしら」)
【反実仮想】
Aましかば ~ Bまし。
Aせば ~ Bまし。
[訳] AだったらBだろうに。Bしただろうに。
※ 「AでないからBでない」と文脈を取ること。
◆「まほし」(希望「たい」)
☆ 古文の欲求表現(意志を「たい」と訳す場合は除く)
未然形+ばや・まほし(たい)
未然形+なむ(てほしい)
連用形+にしかな・てしかな・たし(たい)
体言or形容詞+もがな・もが・もがも(だとよいなあ)
あらまほし(理想的だ・望ましい)
ゆかし(心ひかれる→見たい・知りたい・聞きたい)
参考:「ゆかし」の語源・・・「行かし」 →心ひかれる
・・・「床し」 →ぴとっとしたい→心ひかれる
※2019-02-26の記事に追加、修正。
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