国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

中高生のための内田樹(さま) その3

2018-09-01 11:11:12 | 中高生のための内田樹(さま)
身体論である。
おそらく入試に身体論が多く出るのは、まず、私たちが「身体」の重要性を忘れていることと、内田氏の文章で多く出るのは武道家でもある内田氏が実感を持って書くからであろう。
ちなみに大学院時代「お前の文章には【身体】という視点がない」と怒られたが、しばらく意味がわからなかった。スポーツとかをするのは苦手というか嫌いだったし。それを実感したのはマジックを始めてからである。新しい技法を覚えたとき、他人から習うとき、技法を使いながら観客とコミュニーケーションを同時にしたときなどが私に身体性をくれたのである。
さぁ、みんなもマジックを始めよう(なんか違う)。





次の文章を読んで後の問に答えなさい。
  月本洋さんによると、「人間は言葉を理解する時に、仮想的に身体を動かすことでイメージを作って、言葉を理解している」。
 その仮想身体運動を通じて「他人の心と自分の心」が同期する(ように感じ)、他人の心が理解できる(ように感じる)のである。
 言い換えるならば、他者との身体的な「同期」が「理解」ということの本質なのである。
 子どもにおける「自己の形成」とはその組織化プロセスのことである。
「まわりの他人の動作の模倣を繰り返すことによって、子どもは自分の脳神経回路を、まわりの人間(大人と子ども)の脳神経回路と同様にすることによって、自己を形成してゆく。すなわち、まわりの他人の心を部分的に模倣して組み合わせることで、自分の心を作っていくのである。」(『日本人の脳に主語はいらない』、2008)
 思考も感情も私たちは外界から「学習」するのである。

問 なぜ仮想身体運動は仮想なのか。










本文の軽い解説。幼稚園でお遊戯とかお昼の時間ってあるでしょ。そのとき、他人の笑っている顔やおいしいという感覚を他者がいるからそのような動作や感情を学んでいるという内容と考えてくれると分かりやすいやも。この例もどこかの現代文で読んだ気がする。現代文の世界は解けば解くほどつなっているのだ。

この「中高生のための内田樹(さま)」も一問一答式の形式で色々な文章に触れる機会を提供しているつもりだ。


解答例
他者の身体の動作を模倣することを通して、イメージを作り、言葉を理解するのだが、その他者の身体の動作の模倣は、現実に相手の身体を用いるわけにはいかないので、実際にできないことを仮に想定するしかないから。


※仮想身体運動の部分の「仮想」の説明なので「心」の同期について書かなくて良い。





国語の先生がこのコーナーを利用される場合、文字制限などをすると良いと思います。また、解答は「例」なので適当にいじくってください。

なお、本文全文はこちらの「階層化する社会について」ですが、特に全文を中高生(大人も)に読んでいただきたいものですよ。




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