
高浜虚子が「ホトトギス」に女性の投句欄を設けたのは大正に入ってから、
俳句界の拡大のためには女性の参加が不可欠と考え「台所雑詠」なる投句欄を開いた。
羽子板の重きが嬉し突かで立つ 長谷川かな女
呪ふ人は好きな人なり紅芙蓉
桃食べて訃のこと再び口にせず 阿部みどり女
子有る身のこころ強さよ菊の秋 杉田久女
時代はすこし経て
銀杏を焼きてもてなすまだぬくし 星野立子
咳の子のなぞなぞ遊びきりもなや 中村汀女
虚子の呼びかけから70年、これほど多く俳句人口が殖え、その多くが
女性である今を虚子は思いもよらなかったと思う。

母の文ひらがな多し泥大根

今の俳句界は女性が支えているといっても過言ではない。
男の感性は齢を重ねれば,熟練するだけで技巧的になる。いまだ突っ走って
いるのは金子兜太ぐらいだろう。

冬帝や秩父の里に腰すえて 美甫