蝉は夜明けと夏の始まりを知らせ、響く

夜中
暑いので
窓をあけて
寝た

明け方
外から
聞こえてくる音
カーテンの向こう側は
おそらく
夜明け

蝉が鳴いた
その音を
目をつむったまま
聴いた

夏が
来た

言葉

あの日は雨だった
青いタオルに包んで
紙を持ってきてくれた
その行い

大事に
雨で濡れないように
包んで

大切に扱う
と
いうこと

あの人は
黙って
ロールケーキを
手渡す
何も言わず

水を運び
コップを用意して

時には
赤い板に
詩を書き写し
持ってきてくれた

そのような
行い

あの人は
沈黙する
そこには
数多の
言葉がある
その匂いが
ぷんぷんする

言葉の人は
目がきれいだった

体に
言葉が
ぎっしり
つまっている

言葉の人は
思いの人である

雨あがり

やっと曇り
長雨の了

あの人の
笑顔

羊

ひつじ
追う

六道

六道
夢の行き先
雨の中
で
時を
刻む男

冬の山道

秋の終わり
冬の始まり
山
道
タケちゃんと
防寒具を着て
話して歩く
山道はほどよく広く
車がすれ違えるほどの幅
気持ちの良い空気
雪が降るにはまだ早い
程よい寒さ
子犬たち

世が言うので

スーパーで
辛子明太子を安く売っていた
そうだ
今日はごはんの炊き立て日
世が言う
「炊き立てのご飯に明太子」
と

初めて
それをやってみた
辛子明太子を食べるのは
初めてで
ふたきれ食べたら
塩っ辛くて
まあ
それなりに炊き立てご飯と明太子は
おいしい
世が言うほどでも
と思いながら
残った明太子は
冷凍庫へ