2024年度に基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給とを合わせた賃上げ率が「5%以上」に届いた中堅・中小企業の割合は24・4%だったことが4月22日、財務省の調査で分かった。
大企業では53・8%に達しており、依然として大きな格差が目立つ。
人件費を価格に転嫁できていない中堅・中小企業は50・2%に上り、賃上げの原資確保に苦慮している様子も浮かんだ。
人手不足や物価局を背景に賃上げの動き自体は中堅・中小企業でも広がっているが、連合が春闘方針で掲げた「5%以上」の賃上げへのハードルは高い。
雇用の約7割を占める中小企業での待遇改善は、日本全体での景気回復の鍵を握る。
財務省によると、中堅・中小企業で5%以上の賃上げを決めた割合は、前年度に比べて11ポイント上昇した。
これに対し、大企業では27・7ポイントの上昇だった。
ただ、2024年度にペアがあった中堅・中小企業は8・8ポイント上昇の63・1%に増えた。
全体での賃上げの理由(複数回答可)は「社員のモチベーション向上、待遇改善、離職防止」(86%)が最多。
「物価上昇への対応」(67%)、「新規人材の確保」(54・9%)が続いた。
みずほ証券の小林チーフエコノミストは「定期昇給の伸びに業態で差はあるが、賃上げは加速し、裾野が広がっている」と指摘。
人手不足が深刻化する中で「大企業の賃上げに追随しなければ事業継続が難しくなるという中小企業が増えている」と分析する。
財務省が2024年3月中旬から4月中旬にかけ、全国計1125社の状況を聞き取った。
資本金10億円未満の中堅・中小企業は638社だった。
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