農林水産省は10月18日、農家から拠出金を集め農産物の国内消費拡大や輸出促進に充てる新制度を導入する検討に入った。
環太平洋連携協定(TPP)の発効で外国産の安い農産物の輸入が増えることに備え、国内農家の収益を拡大し経営安定につなげる狙いがある。
農家には新たな負担が生じる。
拠出金の規模などにもよるが、制度に「反対の声が高まる可能性もある」とみられ、具体的な制度設計はこれから本格化させる。
森山農相は10月18日午前のNHK番組で拠出金制度の検討を始める考えを明らかにし、「米国で導入されているチェックオフみたいな(消費拡大への生産者負担の)制度だ」と述べた。
番組後の取材では「そんなに大きな負担を求めるわけではないが、生産者の理解がないとできないので、よく議論をしたい」と話した。
農水省によると、米国では法律を根拠に、税金のように義務として農家や輸入業者から資金を集め、牛や豚、乳製品、大豆など品目ごとに消費拡大や輸出促進、研究開発などを手掛ける組織を運営している。
資金を義務的に徴収するため、組織は特定の団体の利益になるような宣伝や政治的な活動はできないとされる。
計画の了承や業務の監督は米農務省が担つている。
日本でも、JAグループなどの生産者団体が組合貝から集めた資金の一部を、国産の消費拡大対策費などに充てているが、こうした取り組みの効果は組合員以外の商品の売り上げにも及ぶ。
すべての生産者から資金を集める制度を導入することで、負担を均等にできる利点も生まれるという。
森山農相は制度導入の意義について「生産者が自らのものを売るための努力だ」と強調した。
対象品目や導入時時期、法制度は「まったく初歩から議論を積み上げると」と述べた。