アインシュタインが100年前に存在を予言した「重力波」について、米大学を中心とした国際実験チーム「LIGO」が2月11日、ワシントンで記者会見を開き「二つのブラックホールが合体したときに放たれた重力波の観測に成功した」と発表した。
重力波の直接観測は世界初で、宇宙の成り立ちに迫るノーベル賞級の成果。
重力波はアインシュタインが一般相対性理論で1916年に予言した。
ブラックホールのような非常に重い物体が激しく動くと、周囲の時間の流れや空間が揺れて、波のように伝わる現象とされる。
重力波の初観測により、重力や時空を説明する相対性理論の正しさがあらためて裏付けられた。
光や電波では見えない天体の姿や生まれたての宇宙を調べられると期待されている。
成果は2月11日付の米物理学会誌に論文として公表された。
今後、各国の科学者が検証を進める。
チームによると2015年9月14日、地球から13億光年離れたところにあり、それぞれ太陽の29倍と36倍の重さを持つ二つのブラックホールが合体して出た重力波を示す信号を捉えた。
二つのブラックホールが互いに回り合い、最終的に合体するという現象が起きているのを確認できたのも史上初としている。
LIGOは、2台の重力波望遠鏡を米西部ワシントン州と南部ルイジアナ州で運用2台ともほぼ同時に重力波を捉えた。
一辺の長さが4キロのL字形の巨大装置で、それぞれの中心部から直角の2方向に同時にレーザー光を放ち、4キロ先の鏡に反射させ戻つてきた光を測る。
重力波が届くと鏡までの距離が伸び縮みし、光の戻る時間にずれが生じるのを検知する仕組みだ。
日本も岐阜県飛騨市の地下に重力波望遠鏡「かぐら」を建設。
ノーベル物理学賞を受賞した梶田東京大宇宙線研究所長らが観測を目指している。