国土交通省は5月13日、自動車メーカーが国の審査を経てカタログに載せる乗用車の燃費について、市街地や高速道といった走行状況に応じた複数の値の表示を義務付ける検討に入った。
現在は平均値だけだが、三菱自動車の燃費不正問題を機に、カタログ表示と実際に差があることが改めて指摘されており、詳しく分かりやすくする。
ユーザーに利用目的に応じた車選びに生かしてもらう狙いだ。
2018年ごろの実施を目指す。
車の燃費はメーカーの申請を受け、国が国内基準(JC08モード)に基づき、試験場の機器に車を載せて測定。
現在は、さまざまな速度による走行を想定し、平均値のみを表示対象としている。
政府は2018年をめどに、乗用車や3.5トン以下のトラックを対象に、国連が2014年に定めた測定方法(国際基準)を導入予定で、燃費の表示方法も見直す。
国際基準に基づく測定では、市街地、郊外、高速道の走行を想定。
国交省は市街地、高速道などのほか、全体の平均値を表示の対象とすることを検討している。
燃費は加速や気温、荷物の重さ、渋滞状況で大きく変わる。
新たに導入する国際基準でも一定の条件で測定するため、カタログの燃費と実走行との違いは残るが、国交省は「実走行との差ができる限り小さくなるように努めたい」としている。
米国では既に走行状況別の燃費を表示している。
燃費が悪化するエアコン使用時の燃費測定も導入済みで、国交省も研究を始めている。
欧州やインドも国際基準を採用する見通しで、基準の統一により、メー力―が各国で販売する際の負担も軽くなる。
燃費測定方法が各国によって異なる現状も燃費不正問題の背景とみられ、国交省は不正防止効果にも期待している。