厚生労働省は10月13日、冬場に新型コロナウイルスとインフルエンザの大規模な同時流行が起きた場合の対策を発表した。
逼迫を防ぎ、高齢者らに優先して医療を提供するため、リスクに応じた外来受診の流れを明示。
重症化リスクが低い人には新型コロナの検査キットやインフルエンザのオンライン診療の活用を促す。
ピーク時には1日に計75万人の患者が発生することを想定して準備する。
発表に先立ち、岸田首相は政府の検討会議で「先手先手の準備が必要だ」と強調。
ワクチン接種や保健医療体制の拡充を進めると述べ、日本医師会などに協力を呼びかけた。
海外の状況などから今冬は同時流行が起こる可能性が指摘されており、政府は、最大で新型コロナの患者が1日当たり45万人、インフルエンザの患者が30万人発生することを念頭に対策を策定した。
同時流行が発生した場合、重症化リスクが高い高齢者や基礎疾患がある人、妊婦、小学生以下の子どもは発熱外来の速やかな受診を推奨する。
重症化リスクが低い人は、新型コロナの検査キットで自己検査を行い、陰性だった場合はオンライン診療やかかりつけ医の活用を促す。
必要に応じてタミフルなどの抗インフルエンザ薬も処方する。
陽性時は健康フォローアップセンターに登録、自宅療養に入る。
症状が重く感じる場合は、自己検査を受けなくても発熱外来を受診できる。
対策を実際に導入するかどうかは、地域ごとの流行状況を見ながら、最終的に自治体が判断する。
このほか、重症化を防ぐために新型コロナとインフルエンザのワクチン接種を推進。
同時流行に備えて、電話診療やオンライン診療体制の強化を図る。
自己検査に必要な新型コロナの検査キットは約2億4千万回分を確保した。
インフルエンザの検査を行わなくても、電話やオンライン診療による医師の診断で、抗インフルエンザ薬の処方が可能であることも周知する。
ただ、医師が適切に診断できるかどうか懸念する声もある。