骨量が減り軽い転倒などで骨折しやすくなる「骨粗しょう症」の検診に関し、厚生労働省が実施要領を見直す検討を始めたことが9月29日、同省への取材で分かった。
対象者拡充も想定し、早期に患者や羊備軍を把握することで治療や適切な健康管理を促す狙い。
政府が掲げる健康寿命の延伸に向け、対策を強化する。
骨粗しょう症は加齢などに伴い、古い骨を壊す細胞と新しい骨をつくる細胞のバランスが崩れることが主要因で起こる。
骨がもろくなり、立ち上がる際に体が痛んだり身長が縮んだりすることがある。
お年寄りでは骨折がきっかけで寝たきりになってしまう例もみられる。
女性は閉経後のホルモン減少も影響し患者数が多いとされる。
現在、健康増進法に基づく骨粗しょう症検診は、40歳から5歳ごに70歳までの女性が対象。
運動習慣や食生活の内容などを確認し、エックス線や超音波で腰椎や足の骨密度を測る。
受診率は全国平均で毎年5%前後と低い。
検診見直しで厚労省は、整形外科医らによる研究班を設置。
病気のリスク要因を改めて整理し、受診率の年齢差なども分析した上で、対象年齢を広げるか、男性を追加するか、といった見直し内容を議論する。
受診率が上がるような検診の在り方も考える。
受診者に、問診や骨密度の測定値をもとに精密検査や保健指導をする基準も精査。
病院や自治体向けの検診に関する国の手引は2000年に作成されてから変わっていないため、改訂を進める。
日本骨粗しょう症学会などによると、同症の患者数は女性980万人、男性300万人の計1280万人に上ると推計される。
高齢化が進み、さらに患者数が増えると見込まれている。