栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

1人1億円を売り上げる少数精鋭のユニークな企業

2008-03-07 08:39:42 | 視点
 福岡の中野建築システム(株)はとてもユニークな会社である。
私もいろんな企業を見てきたが、こういう企業にはあまりお目にかかったことがない。
まず、創業者の中野龍之氏本人が、ついで組織形態がユニークである。

 私が初めて中野さんに会ったのはもう6年近く前になる。佐賀県武雄市にある若木ゴルフ倶楽部を舞台に経営側と、それに対抗する会員が組織した「守る会」が対峙しており、その闘いの過程を取材して欲しいという依頼だった。
 ゴルフをしない私にとって、この話は当初あまり気が進まないものだった。
ただ、紹介者の手前もあり一応話は聞いてみることにしたが、内心は断るつもりでいた。というのも、所詮は預託金の返還率をアップしろという話で、儲かると思ってゴルフ場の会員権を買った連中が当てが外れて騒いでいるだけだろうと考えていたからだ。
 私はこの手の話にはおよそ興味がなかった。
ところが、「私達は預託金を返せと言っているわけではないんです。ゴルフ場は誰のものなのか。会員から金を集めてゴルフ場を作って、それを会員に黙ってハゲタカファンドに売却したんです。そして再生と称して民事再生を申請し、会員の預託金を大幅カットする。こんなことが許されるようでは世の中に社会正義なんてなくなりますよ。ね、そう思いませんか」と熱く語る中野さんの言葉を聞きながら、この人は純な人だなと感じた。
 結局、引き受けるかどうか決めるのに少し時間をもらうことにし、取り敢えずその時は返事を保留したまま別れた。それから1か月ほど、全国のゴルフ場を巡る動きや、若木ゴルフ倶楽部のこと、会員の動きを予備取材し、再度中野さんと会い、彼らが何を目指しているのかを聞くことにした。
 会員によるゴルフ場の自主運営--どうやら中野さん達の最終目標はそこに設定しているようだと分かり、これは社員、株主による企業再生と同じ構図ではないかと考え、それまでと一転して取材意欲が湧いてきた。そして執筆を引き受けたのだった。(若木ゴルフ倶楽部を守る会がどう闘ったのかは拙著「日本のゴルフ場が危ない!」(海鳥社)に詳述しているので、そちらを一読されたい。因みに中野さんは当時、「守る会」の事務局長であり、氏の類い希なリーダーシップで「守る会」は結束を誇りながら闘い続けたのである)

 これが縁で以来お付き合いをしているが、中野さんには会う度に驚かされる。
ある時など席に着くや否や、「いやー、困りましたよ」と言う。

             (以下略)


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