栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

規制しても増え続ける中国の車

2011-09-05 08:54:58 | 視点

 中国政府が今最も頭を痛めているものの一つに激増する車対策がある。
情報としては知っていたが、先週、大連・北京に行って目にし、その多さに驚いた。
宿泊ホテルは北京市内から1時間弱の西部のホテルだったが、写真はホテル周辺の朝の光景である。
片側4車線の道路を乗用車がひっきりなしに通り過ぎていく。
かつて自転車で埋め尽くされた光景など、いまはどこを探してもない。
かつての銀輪洪水が自動車洪水にとって代わっている。
車種は実に様々。
VW、BMW、ベンツ、トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、マツダ、ヒュンダイ・・・と世界中の車が走っている。
スズキ、マツダ、ヒュンダイは6年前には見たことがなかった。

 団地の敷地内には駐車スペースが作られ、そこに整然と駐められている光景は日本で見かける団地内の光景と全く同じだ。
団地内に駐車スペースを確保できない車は団地周辺の道路に無断駐車している。
日本の高度経済成長時代でもここまではなかっただろうと思われるほど、いまの中国は車が溢れている。


 しかし、北京・上海などの大都市で車を持つのは、日本で考える以上に大変である。
まず車両価格が日本で買うより高い。
例えばホンダの同じ車なら日本で買った方が安く買えるはずだ。
それでも皆、車を買いたがる。

 だが、車を買えば、次にナンバープレートを購入しなければならない。
これが簡単に買えない。
ナンバーの発行数が少なく抑えられているため、自分の番が来るまで辛抱強く待たなければならない。
でなければ、既発行ナンバーを他人から高い価格で購入(早い話が闇で購入)するしかない。

 そんな思いをして手に入れた車も毎日自由に走らせることはできない。
ナンバーによって車に乗れる日が決まっているからだ。
例えば水曜日に車を走らせることが出来るのは、車両ナンバーが8、9以外の車だけである。
しかも、せっかくのスーパーカーもその性能を十分に発揮させることができない。 
高速道路は張り巡らされているが、朝夕は渋滞がひどく、ノロノロ運転しかないのだ。

 「北京は車が多すぎる」
出会った中国人の誰もがそう言う。
ナンバープレートの発行を制限していても、1日1600台のペースで車が増え続けているのだ。
もちろん自動車事故も比例して増えている。
様々な法整備も行われているが、社会に発展スピードに付いて行けないのはどこの国でも同じだが、特に中国はそうだろう。

 中国では電気自動車に急速に替わるに違いない。
車の多さを見ているとそう思わざるをえない。
それでなくても北京は空気の悪いところ。
これに排ガスが加われば間違いなく公害病が増えるだろう。
喘息も増えるに違いない。
そうすると二酸化炭素排出規制を強化し、電気自動車の導入を急がざるをえないだろう。
電気自動車が世界に普及するのは我々が考えている以上に急速に進むかもしれない。


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