栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

経営者の資質

2006-08-11 17:28:57 | 視点
 先月の下旬、ある人から電話がかかってきた。
HPで私の記事を見てかけてきたようだった。
最近、HPに収録している記事を見て、見知らぬ人からメールや電話がよくかかっ
てくるが、話を聞くと12、13年前に取材した会社の関係者らしく、社長のH氏に会
ってもらえないかということだった。

 社名と社長の名前を聞いて、私はすぐ思い出した。
当時のベンチャー企業の経営者である。
その会社は87年に上場したが、02年に破綻していた。
破綻の過程に興味があったので、取り敢えず会うことを了解した。
 会って話を聞いて分かったのだが数100億円の粉飾決算と詐欺罪で当人は逮捕さ
れていたのだ。
 詐欺罪というのは金融機関2行から破綻前に都合30億円の融資を受けていたが、
これが破綻すると分かっていながら融資を受けた(返還の意志が当初からなかった)
、しかも融資目的と実際の使途が違っており、それは詐欺に当たると、倒産後、訴
えられたのだ。

 本人は粉飾決算に対しては認めているが、詐欺罪は冤罪だと一貫して争っている。

注意したいのは会社が倒産した時、経営者は同じような目に遭うということである。

もう一つは、経営者の資質である。

 H氏に倒産の原因を尋ねると「人です」と言っていた。
最後は「人に裏切られた」と。
 九州の大手スーパーが倒産した時もそうである。
倒産前何年にも渡って粉飾決算をしていた。
組織が粉飾をしていて、社員に潔癖で優秀な人間がいるだろうか。
もちろん、中には何人かそういう人間もいるだろう。
だが大半は上に倣えで、会社の金をごまかしたりしてくる。
要は組織ぐるみで規律が緩み、乱れるのだ。

 裏切られるような人間しか自分の下にはいなかった、そういう人間しか登用して
こなかった経営者の資質にこそ問題があるのだ。

<経営者の資質とは何か>

そのことをもう一度しっかり考える必要がある。



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