栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

菅首相・民主党は参院選大敗の原因を真摯に反省せよ。

2010-07-13 21:29:49 | 視点
 民主党は参院選大敗の反省を本当にするつもりがあるのだろうか。
ここ1両日の各閣僚、民主党役員の発言を聞いているとどうも疑わしい。
「菅首相の消費税発言は間違って受け取られた。消費税論議を始めようと言ったのが、いますぐ上げるというように受け取られた」
「消費税だけが大きな原因だったかというとそうではない。これまでの民主党政権が期待に必ずしも応えていないどころか、逆に『政治とカネ』や普天間(飛行場移設問題)で失望に近い思いを抱かせてしまったことが前提としてあった」
 この蓮舫氏の発言に近い発言が現閣僚から相次いだ。
その挙げ句が参院選で落選した千葉法務大臣の続投、枝野幹事長も辞任なし、という誰も責任を取らない「無責任体制」だ。
これで参院選の結果を真摯に反省しているといえるのだろうか。
少なくとも神奈川選挙区民の民意を無視したことだけは間違いない。
 選挙区民の「ノー」という声を無視する政権が今後、国民のための政治を行うだろうか。
一般的にはノーだろう。

 自民党政権下ではそういうことが何度も行われてきた。
だから国民は「政権交代」を望み、民主党に託したのだ。
しかし、民主党政権になって何が変わったのか。
相変わらず同じ手法で、同じことをやっている。
そのことに国民が気付き、民主党の過半数獲得に「ノー」を突き付けたのだ。
そのことが菅首相始め民主党役員連中は何も分かっていないようだ。

 ところで、蓮舫氏が言っていることは本当だろうか。
たしかに「これまでの民主党政権が期待に必ずしも応えていないどころか、逆に『政治とカネ』や普天間(飛行場移設問題)で失望に近い思いを抱かせてしまったことが前提としてあった」。
 その責めは誰が負うべきなのか。
一人鳩山前首相だけでなく、当時の閣僚全員が負うべき話である。
いわんや菅首相は当時、副総理だった。
いうなら重大な責めを負う一人である。
それが、普天間問題で積極的に発言していなかったというだけで、「責任逃れ」を決め込み、総理のイスを手にしたのだ。
 「政治とカネ」の問題でも菅さんは積極的に発言をしていない。

つまり、菅さんは重要な問題ではすべて口をつぐみ、逃げてきたのだ。
そして首相になると、党首討論も逃げてきた。

 それが選挙戦に入ると、いきなり「消費税増税論議」を打ち出してきた。
その結果が民主党の大敗だ。
これは選挙戦術のミスという問題ではない。
選挙民に理解されたとか、理解されなかった、順序を間違えたという戦術レベルの話ではないのだ。

 国家の在り方に関する根幹の話なのだ。

 それなのに、「消費税論議を始めようという考え方は間違ってはいなかった」とか「順序を間違えた」というような分析しかできない民主党に問題がある。

 この点ではマスメディアも同じだが、消費税論議はあくまで国の税制論議の中の一つにしか過ぎないのだ。
それなのに、消費税を上げなければやがて日本もギリシアのようになるというような論調で増税の片棒を担ごうとしているマスメディアにも大いに責任がある。
 国の税制の在り方を考えるような重大な問題はまず党内で論議し、党の意見をまとめ、次に与野党で徹底的に論議し、国民に分かるようにし、しかる後に国民に問うのが「順序」だ。
 少なくとも思い付きで言うような話ではない。

 そういう意味で、菅首相に責任はあるし、その責任は重い。
そのことをしっかり認識すべきだ。

 消費税に関して言えば、諸外国と比べて日本は低いということがよく言われるが、消費税を導入している諸外国でも非常に苦労している。
 というのは、この税は逆進課税になるからだ。
つまり低所得者層ほど重くなるのだ。
だから、食品には非課税としている国もあるし、ドーナツの個数で課税するしないと分けている国もある。

 こういう情報をマスメディアはどんどん出すべきだ。
しかる後に、我が国ではどうするのかという論議になるべきである。

 民主党に任せてみたが何一つ変わらなかった--。
いま、国民はそう感じている。
それが選挙結果に表れた。

 ばらまきも、政治とカネの問題も、国会運営も、責任の取り方も・・・。
八ッ場ダム予定地の住民が言っていた。
「政治家の言うことは信用できない。前原大臣だって『理解してもらうまで何度でも来る』と言ったが、あれっきり。あの後一度も来ない」と。
 民主党政権で変わると思ったが、何も変わらなかったことへの落胆。
それこそが民主党大敗の原因である。
その総括ができるかどうか。
そして変えられなかったことの責任は菅首相はじめ、当時閣僚だった現閣僚全員にあるという反省が。
 その総括が本当に出来るなら、現閣僚は全員辞任すべきだ。

 それもできず、選挙結果に誰も責任を取らない党を国民は信用も信頼もしない。
 菅さん、あなたは国の代表としてはふさわしくない。
あくまで野党の代表だった。
少なくとも一時、あなたを国の代表として支持した私自身の不明をいまは恥じる。


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