リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

後でハプニングはあったけど久しぶりに見ごたえのある芝居

2022年03月25日 | 日々の風の吹くまま
3月24日(木曜日)。🌤🌥☁。今日は春らしい天気。カレシが8時過ぎに「9時にスカイプの約束があるっ」と飛び起きたので、せっかくよく眠っていたワタシも起床。そそくさと朝ご飯を済ませて、カレシはずっと前に始めたグループレッスンの先生を引き継いでくれたイギリス人のジェニファーと互いに近況報告。ワタシは演劇ワークショップのヒラ先生から送られて来た今日の発声練習の教材をプリントしてウォーミングアップ。カレシが10時過ぎになって「園芸センターまでくる間を走らせて来よう」。それはいい考え。ゆうべ芝居が終わって車に戻ったら、あちゃ、尾灯が点いているっ。案の定、キーを回しても悲しげな音はするけどエンジンはかからない。あぁ~あ。結論を急ぐと、客待ちしていたタクシーの運転手にジャンプスタート(料金2千円)させてもらって無事に帰宅。タクシーが待機している場所でよかったぁ。というわけで、高速をちょっと遠くまでぶっ飛ばしてバッテリーのチャージを上げておこうと言うわけ。(園芸センター行きは口実だったけど、ちゃんと野菜の種を買って来た・・・。)

でも、ゆうべは楽しかったな。指定したバス停でY君を拾い損ねそうになったけど、レセプションの時間に間にあって劇場に到着。ワクチンカードをスキャンしてもらって、2階のラウンジの入口で名札を受け取って、ワインバーに直行。なじみのメンバーが次々と到着するたびにお久しぶりぃ~とハグを連発して、Y君を紹介。その合間に専務理事のピーターとダグのカップルとおしゃべり。ニュージーランド航空が運休している間レイオフされていたダグは、呼び戻しがないまま雇用解消の形になって就活中。でも、空港業務のマネジャーとして夜に到着/出発する便に合わせて勤務していたダグは「芝居を観られなくなる心配がなくなったからね」と割り切った態度。副芸術監督のレイチェルと差しで話をするのは初めてで、ワタシのことはピーターに「会ってみてのお楽しみ」と言われていたと聞いて、横にいたピーターに肘鉄を食わせて、レイチェルには劇場ねずみでしてぇと自己紹介して大笑い。

芝居『Made In Italy』はアルバータが本拠のコメディアンのファレン・ティモテオが書いて、独り芝居で自演する自伝的なストーリー。時は1970年代初め。家族により良い生活をさせたくて1950年代にイタリアから移民して来た父親(作者の祖父)と学校で唯一のイタリア系として苛められながら自分のアイデンティティを模索するティーンの息子(作者の父)の葛藤という、カナダでは「移民家族あるある」の設定。父親のサルヴァトーレは話し方も動作のこてこてのイタリア人のままで、小さいときから人前でイタリア民謡を歌わされて来た息子のフランチェスコ(英語風にフランセスコと発音)はそれに反発しまくり。スタローンの『ロッキー』に触発されてワークアウトに励んで苛めっ子にパンチを食らわせ、家を出て名前をいたって英語的なフランク・マーティンに変えてバンドで歌い、ディスコを踊り、テレビのタレント発掘番組に応募してと、この間ティモテオはコメディアンとしてのパワーを発揮しまくり。

終わり近くで、タレント発掘番組に出演するというときに家族が入院してあわやというところで、病室でテレビを見ていると知らされて番組に登場した「フランク・マーティン」。サイモンとガーファンクルの『明日にかける橋』を歌い出し、それが途中でイタリア語になり、歌い終わって「名前はフランチェスコ・マンティーニです」と言う場面が最後のシーンに見事につながって、歌の持つ意味がはっきり。しんみりかつほのぼのとしたエンディングにライトが消えると同時にほぼ満員の客席は総立ちで大喝采。移民の国カナダでは誰もが「カナダ人」になる過程で一度は通って来た道と言えるから、大きな共感と感動を呼んだのだと思う。久しぶりにぐっとハートに来る見ごたえのある作品だったな。