

ジャイルズはゆったりと ローラーに寄りかかっていた。 グエンダは 薔薇 の芽をはさみで切っていた。 ミス・マープルは少し奥に引っ込んで 蔓草 にかがみこんでいた。 マニング老人は熊手を杖代わりにしていた。 全て昔ののんびりした朝の話し合いと 古き良き時代の庭作りに向いた道具立てであった。 (中略) 「ご近所のユール夫人は、イチイ の垣を リスの形に刈り込ませたものでした ―― それからランバート大佐 ―― いつも ベゴニア の綺麗な花壇を作っていましたよ。 花壇作りも今じゃ流行遅れですがね。 あっしがこの6年間、何度前庭の花壇を埋めちゃあ 芝を植えたか話したくもありませんや。 皆もう ゼラニウム や素敵な ロベリア の 縁どりなんかに見向きもしなくなったようでさあ」 【A・クリスティー作 「スリーピング・マーダー」】 |

昨日と違って今日は、快晴の朝を迎えました。
カラっとして爽やか、ヒンヤリ。こんな時の定番の言葉は、そう高原の朝。
その5月の爽やかさは、この時間になっても続いています。
実は、その予感は昨夜から。
思いの外、冷えた事と休む前に眺めた満月のお月様が、
ハッとするほど綺麗でしたから。それは、この季節には珍しい青褪(ざ)めた月。
しかも丁度、カーテンとカーテンの隙間から
顔を出しているという、おまけ付きです。
(暖かくなってからは雨戸を閉めていませんので)
こうなれば勿論、お月様と共に眠りに着けるという数少ない幸運にも。
ただ昨夜は月明りが、やけに明るく感じられたものです。
従って勿体ないけれど、すぐに閉じる羽目に。
そう言えば、どなたかが言っていらっしゃいましたね。
震災以来、街は暗くなったけれど、月明りや星明りがある事に気付いたと。
自然は、天災という不幸を時にもたらしますが、
その同じ自然に私達人間は、どれだけ癒やされて来た事でしょう。
改めて考えさせられます。


さて、薔薇に現(うつつ)を抜かしている間に、
拙庭では着々と世代交代が行われています。
蔓日々草(ツルニチニチソウ)の青い花は、まだまだ現役ですが、
そのお隣には同色の花菖蒲が顔を覗かせました。(冒頭の写真)
かと思うと、あれほど席巻(せっけん)していた、
西洋十二単(セイヨウジュウニヒトエ)は、そろそろ終焉に。
代わりに登場したのは、ワイン色の蕾を付けた 「羽衣ジャスミン」。
いつも思うのですが、真っ白な花を咲かせる花とは思えないような蕾の色。
尤も下の地域では、既に満開のお宅もありましたけれど。
それに忘れてならないのが、ハーブの可憐な花たち。
ローズマリー、チェリーセージ等、お馴染みの花も続々です。
それにしても・・。小さなハーブの花は、妖精が舞っているようにも見え・・。
その上、奇しくも花菖蒲は 「初夏の妖精」 とも呼ばれているのだとか。
従って今日のタイトルは、これで決まりです。