「・・・ 編物をしようとしても ―― 以前はあんなに愉しみだったし ―― 私は本当に上手でもあるんですよ。 だのに、今では網目を落としてばかり ―― しかもそれに気が付かないと 来ているんですから」 ヘイドックは考え顔で彼女の顔を見つめた。 と思うと、彼の眼がきらめいた。 「何にだってその逆のものがあるのですよ」 「それはどういう意味ですの?」 「編物が出来なければ、気分を変える意味で、 解きほぐしてみたらどうなのです? ペネロペ はそうしていましたよ」 「ペネロペとは境遇が違いますよ」 【A・クリスティー作 「鏡は横にひび割れて」】 |
【マトリカリヤ(夏白菊)」】
午前中は昨日までと同様の空が広がっていましたが、
時間の経過と共に曇り空に。
夕方にはポツポツと雨も降り出しました。
どうやら長い事続いたお天気も今日が境目のようです。
九州や四国地方では梅雨入りしたとか。
もう、そんな季節になったのですね。
ところで、こちらの 「マトリカリヤ(夏白菊)」。
今朝、ご近所の方から頂きました。
去年も頂き、張り切って地植えもしたのですが、
僅か1年で枯らしてしまった私。
ガーデニングもプロ級の腕の方には敵いません。
さて、布針からレース針、
はたまた絵筆と・・。
あれこれ持ち換えながら、
毎日を楽しんでおります。
結構、同時進行も。
そんなこんなで。
今日は、ベストが
出来上がりました。
ただ、惜しむらくは、
レース糸が太い事。
従って本来のレース糸が
持つ繊細さはありません。
まるで毛糸のよう。
最初こそ、スイスイと
快適に編んでいましたが、
ほどなく後悔。
と言っても解きほぐす
勇気はありません。
やはりレース糸は、
細いのに限りますね。
またしても同じ轍(てつ)を踏んでしまったという訳です。
尤も持っている糸を少しでも減らしたいという事もあるのですけれど。
一方、どうせ同じ労力を使うのなら、気に入った糸で・・。
これらは、いつも陥るジレンマです。
ところで、今日の 『アンの世界』。
尤も今日は、A・クリスティー版ですが、ミス・マープル の嘆き。
ようするに原因は年を取ったから・・という事らしいです。
そうそう、文中の ペネロペ とは・・?
“夫のトロイアの遠征中彼女は、求婚者を退けるために
布を織ってはそれをほぐして暮らした・・”
~とあります。その心中やいかに。
そして一日が気の遠くなるほど長かったでしょう。いやはや・・。