声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

ハンサムウーマン

2013-01-09 21:02:49 | 自衛官時代の想い出
配属後のWAC管理隊の規則は
朝霞の教育隊と違って緩くなります。

例えば、現在は恐らく減っているでしょうが、
30年前当時のWACの陸曹クラスには喫煙者もいたため、管理隊内には、
二階に専用の広い喫煙室がありました。

テレビが置かれているのは、
その喫煙室と一階にある和室のみ、
あとは教養室にビデオ付きのテレビと
3台のTVを皆で見るのですが、

見たい番組が、どこでやっているかによって部屋を移動するのが常で、

特に21時以降のトレンディドラマは
喫煙室の常連達が好んで観る傾向がありました。

職場でのストレスを発散させていたのでしょう、そこはいつも煙缶( 灰皿)を
囲んで談話する賑やかな陸曹たちの本音が聞ける場所でもあり、

職場では一切、喫煙は禁止ですので、
ここが唯一、営内で喫煙できる憩いの場となるわけです。

この喫煙室の常連には男子自衛官よりも仕事のできるツワモノがいて、

彼女達は、タカラヅカの男役のような雰囲気さえ漂わせていて、
まさに、今流行りのハンサムウーマン
で、新隊員達の憧れの的でした。

WAC宿舎の長は管理隊長ですが、
当時、管理隊長は営外居住でしたので、

実質は営内陸曹の彼女達がWAC隊
を仕切っていたと言っても過言ではな
いでしょう。


その中の1人、
N三曹は人柄も姿もユニークな人でした。

大柄ながっちりした体格、
少しクセ毛の黒々としたショートカットの髪、
逞しい体格のわりに、愛らしい丸顔で、

大きな眼をカッと見開いて真っ直ぐ相手の顔をみながら話す、

その時の表情が怒った時のオバケの
Q太郎ソックリで、

声はややハスキーで大きくて、どこにいても目立つ、飛び抜けた存在感…

…そんな人でした。

N三曹と言えば、こんな事がありました。

管理隊の浴場は、
通信隊など夜勤明けのWACのために正午過ぎから入れるようになっていたのですが、

入口にある木製の簡単な棚に脱衣を置き、次の硝子戸をあけると、
タイル張りの広い洗い場に続いて
20人はゆったり入れそうな浴槽があります。

銭湯のように広い浴場での
昼間っからの入浴は楽しみの一つでも
あり、
浴槽の縁に座って雑談するのも
WACのリラックスタイムなのです。

ある日の午後、巡回演奏旅行が終わり、朝帰ってきた私は、
そのまま仲間たち4人と一緒に入浴していました。

浴槽の縁に座って、ペチャクチャ雑談をしていると、いきなり
ガラッと硝子戸をあけて誰かが入ってきました。

「オッす!」

とハスキーな聞き覚えのある声が浴室に響き渡ったと同時に、

肩にタオルをかけ外股で歩きながら前も隠さず堂々と入ってくる人がいたのです。(^^;;

その堂々たる態度に思わずこっちが目を伏せてしまいましたが、

それが、あのN三曹でした。

私はその時思ったものです。

羞恥心とは麻痺するものなのだと・・。(~_~;)




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