採血をする時に

「アルコール消毒で赤くなったりしませんか?」
と訊かれると
「今のところ大丈夫です」
と妙な答え方をしてしまう。
亡き実父がアルコールのアレルギーでワイン一杯飲んだだけで救急車騒ぎをした事があった…
以前は、ブランデーを少しだけ飲んでいたようにも思うが、
突然、50代でアナフィラキシー症状が出て大騒ぎ、
以来、アルコールは一滴も口にしなくなった。
長男は、1つの食物を続けて摂るとアレルギーが出てくる体質で、
トマトジュースを毎日飲んだらトマトアレルギーになり、
バナナをスポーツジムに行く前に食べていたら、バナナアレルギーになったと言う…
牛乳,卵の代わりに大豆食品を摂ると大豆アレルギーになったくらいだから、
同じ食品を摂り続けると、それが新たな
アレルギーの原因であるアレルゲンとなる体質である。
今朝はクシャミで目が覚めた。
花粉アレルギーが出始めている。

気持ちの良い朝だ。
昨夜積もった雪の庭をM嬢と散歩しながら、
朝陽にキラキラ輝く樹々を眺め、
この美しい景色を独り占めしているような幸せな気分に浸った。
先月末から連続で隣市への出張セミナーや地元商工会議所主催の新入社員研修などの立ち仕事が続いたが、
それらが一段落したこともあって、心に少しだけ余裕ができたせいか、
昨夜は久々に酔っ払った夫の戯言に付き合った。
コミュニケーション術を主に受け持っている講師でありながら、
夫の話には真剣に耳を傾ける事がないのはいつもの事だが、^^;
昨夜はいつもと少し違った。
いつものように酔っ払った夫が、昨夜は珍しく人生をしみじみと振り返りながら私に問うた…
「これまでの人生で、あの時こうしておけばよかった…と思った失敗は何だった?」
と。
スマホをスクロールする指を止め暫し考えて、
「失敗は数限りなくあるので,すぐには思いつかないけれど…」
と答えつつ、
ふと20数年前の大失敗を思い出した。
それは夫も関わっていたので、
「あの時はオレの判断も間違っていた」
と神妙な表情。
「じゃあ、これまでで1番、うまくいったことは?成功した事は何だ?」
と、やや表情を緩めて続けた。
何も思い浮かばなかった…
「成功した事なんてない…もし、これまで上手く行ったと思った事が1度でもあったなら、それは思い上がりなんじゃないかな…」
私の答えに、
夫は怪訝そうな表情で、
「じゃあアレは?童謡コンクールの全国大会で賞をとった事は?」
と聞き返してきた。
子供が小さい頃、思いつきで童謡の全国コンクールに応募した事があった。
それがきっかけで今、講師をしているラジオ局との縁が生まれたのを夫は成功体験だと言いたいのだろう…
だが、それは違う。
あれは単に、コンクール出場を取材してくれたラジオ局のアナウンサーと、
私の局アナ時代の同僚が知り合いだったと言うだけで、
アナウンサーの欠員が出た際にタイミングよく声をかけてくれただけの事だ。
私自身が意図的にラジオへの復活を目指してコンクールに応募したわけではない。
成功体験なんて、そんな簡単に得られるものではないし、
失敗か成功かなんて、
まだ人生が続いている段階で判断できるものなんて、私の場合何もないのだ。
仕事でも趣味でも、
全ての人に良かったと言ってもらえることなどあり得ない。
何より自分で上手く行ったと思っているのは自己満足に過ぎない。
事業をしていた夫の場合は成功も失敗もわかりやすいパターンが多いと言う事なのかもしれないが…
まぁ、そんなものは人生終わってみなけりゃわからない。
我が家は今年で結婚40周年だが、
コレが成功だったか失敗だったかなんてわからないのと同じように…
(-。-;