宿泊先のホテルで家で作って持ってきたお弁当を食べていると、
懐かしい人から電話がかかってきた。
彼女は、
来月の初旬に予定されている高校の合唱部同窓会の幹事を務めてくれている。
「あと2週間だから、どうかな?と思って」
元気そうな明るい声が耳元で響いた。
高校1年時から合唱部で一緒だったが、
卒業後は、進路も違ったので会うのは部活の同窓会くらいだ。
個人的に親しいわけではないが、
私は彼女を「ちゃん」付けて呼ぶ。
それが当時の部活では当たり前だった。
肝心の2週間後の合唱部同窓会だが、
「今回は一期生の集まりなのよ」
と言う。
どう言う意味かと訊けば、
「Y先生が最初に赴任された年から異動になるまでの期間の教え子の会」
だと言う。
顧問のY先生は、異動後に再度、母校に赴任して合唱指導をしているから、
第二期生というのもいるわけだ。
今回集まるのは50人程度だが、1番若い同窓生は昭和57年卒だと言う。
「1つ先輩のKさんも参加するのよ」
と彼女は笑った。
Kさんは、
Y先生の赴任当時、女声合唱から混声合唱に移行する時に手伝いに来てくれた助っ人部員でもある。
『オマエたちは口パクでいいからな、オレが歌うから』
と言ったY先生の言葉に、
真顔になった男子助っ人部員たちの顔が浮かんだ。
当時26歳のY先生は、
選択科目だった音楽で歌えそうな男子を見つけては、
無理やり合唱部に入れたのだった。
サッカー部や、陸上部、吹奏楽部など合唱未経験の寄せ集め部員たちだ。
厳しくも楽しい思い出が蘇ってくる…
4年前に開催する予定だった合唱部同窓会が
コロナのせいで延期され、
ようやく2週間後に故郷で開かれる。
飛行機もホテルも全て予約済みだが、
問題は…コルセットの息苦しさと、腰痛だな。
13年前の合唱部同窓会で歌った校歌。
久しぶりに、ちょっと練習しておこう。
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