「妊娠してました」
「4匹、中期だったのでこのくらいです」
と獣医は親指と人差し指で直径2cmくらいの丸い形を作ってみせた。
やはり…そうだったか。
1か月前、
我が庭で見かけた近所のオス猫とユキちゃんの交尾を思い浮かべた。
あと1か月したら産まれていたかもしれない。
4匹…か。
申し訳ないことをしたな、という罪悪感と
もし4匹生まれたらどうなっただろう…
そんな複雑な気持ちで獣医の言葉を聞いた。
帰宅すると、
待ち構えていたようにひと足先に《さくらねこ》になった白雪ちゃんが飛んできた。
キャリーケースの中のユキちゃんにチュールを食べさせるとおいしそうにペロペロ舐めた。
それを見た白雪ちゃんが、「私もちょうだい」とばかり顔を近づけてきた。
昨晩、白雪ちゃんは、
大雨の中を、離れのベランダの捕獲器に入ったユキちゃんをじっと見守っていた。
白雪ちゃんは、
自分のエサを母猫のユキちゃんのために必ず残すほど、ユキちゃんを慕っている。
今朝は、
私が捕獲器を車に乗せるのを途中まで見送っていた…
その事を獣医に話すと
「メスだと、そうですね。オスはないですけど」
とのこと。
明朝はユキちゃんのリリース予定。
どうか母猫ネコが、安心して暮らせますように…。