デヴィッド・アーモンドの「肩甲骨は翼のなごり」を読みました。正統を継ぐファンタジーのように思われました。わたしは良きファンタジーを神話の嫡出子のように考えています。表面に書かれるできごとはさまざまですが、根底に流れるのが生と死、甦り....愛による救済...であるからです。 これからお読みになる方のために詳しく書くことは避けますが、個の救いが世界の救いにつながってゆく同じ作者の「火を喰う男」はそのようなものがたりでした。
心を打つものがたり(ドラマや映画を含めて)の底にはある普遍のテーマが流れていることが多いように思います。「薔薇のない花屋」は最近ではおもしろいドラマでしたが、主人公のふたりの青年、見捨てられお互い同士しか頼むものもない「名も無き戦士」である、陽と陰といってもいいふたりが「涙」を取り戻すシーンが印象的でした。凍り付いていた涙の「雫」は溢れる愛情を受けとめたとき、流れたのです。それも「甦り」にほかなりません。
父と子、魂の遍歴、男と女のありよう、(日本などでは滅びもまたテーマのひとつです) 神話にはさまざまなテーマが含まれていて、その最も大きなテーマが光と闇のたたかいであり、生と死であるわけですが、テレビや映画だけでなく、アニメ、漫画、ゲームなどのサブカルチャーにもいわば本家取りというほど、色濃く反映しているのは、それらのテーマがひとの琴線に触れるからではないでしょうか?ひとの奥底に埋もれている忘れてはならないたいせつなものを揺さぶるのでしょう。
さて、今日はハタモトヒロというシンガーの歌をはじめて聞きました。不思議な声でした。風が木の枝をきしらせるような声 体がリラックスするような心地よい声、五官にひびく、骨を震わせるような声...歌詞はいらない メロディラインだけでいい声 倍音が多く含まれていると思いました。
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