町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

明暗を分けた小田急1000形、2種類の固定編成

2020年11月03日 | 小田急電鉄

1990年代に入ってからも、依然として小田急の急行列車は相模大野で分割併合を行う運転形態が続いていた為、2代目の千代田線直通車である1000形も6両と4両で増備が続けられました。しかし1992年に落成した1091Fからは初の先頭車が中間に入らない10両固定編成となり、1251F1061F1060F1059Fに代わり専ら千代田線直通専用車として運用を開始しました。1994年には近郊各停の輸送力増強用と2000形の先行試作車的要素がある1081Fも加わり、最終増備車の1094F登場から実に13年、3代目の千代田線直通車4000形が2007年に登場するまで10両固定編成の増備はありませんでしたが、分割併合を廃止した2010年代より小田急では固定編成を増備する方針に舵を切り、時代をかなり先取りした車両であることが伺えました。

2015年からリニューアル車も登場し、10両固定編成では唯一この1092Fが未更新車となり注目されるようになりました。この編成は2002年の多摩急行運転開始時に上り一番列車の唐木田始発綾瀬行きに充当され、ヘッドマークを付けて運転された実績があります。

近郊各停の輸送力増強用として唯一地上専用車8両固定編成で登場し、やや異端な存在だった1081F。小田急初の自動放送装置を搭載しており、登場当初の一時期英語放送も実施していましたが、日本人のアナウンサーが読み上げていたのか発音が悪く、肝心の外国人利用者には伝わっていなかったというエピソードがあります。その後(1995年頃?)に現在お馴染みの西村文江さんによる放送に更新され、英語放送も削除。2004年からはクリステル・チアリさんの英語放送を新規に開始するも、この編成のみ最後まで追加されることはありませんでした。経年の新しい編成であるにも関わらず、特殊な編成組成が災いし1255F+1055Fのリニューアルに伴う中間車化改造を省略する為に活用する付随車2両を残して2代目50005051Fと入れ替わりに廃車第一陣にされてしまいました。

今や唯一1000形でLED表示を備えている車内。1081FLED式と路線図式を交互に設置していましたが、種別の増加に伴い撤去され紙の広告枠にされてしまいました。2000年代からバケットタイプの座席に交換されますが、1081Fのみは長期間登場当初からの無地の赤い座席のまま残存していました。

LED表示は登場当初から長らく白枠の表示器でしたが、2008年頃に30003次車と同じ黒枠のものに交換されドアチャイムも若干高くなりました。LED表示の交換は1081Fにも施行されています。

2代目5000形の登場で、真っ先に廃車になるのは8000形の界磁チョッパ制御車だろうと思われていた中で、1081Fが突然廃車(最終運行日には車内に離脱を告げるメッセージが貼られました)になったことは衝撃的な出来事でしたが、汎用性が高く6両2編成以外は3000・4000形と同じレベルの性能になっている8000形と比較すると特殊な編成が存在し、未更新車はバリアフリーにも対応していないこと、また車齢を加味すると全編成をリニューアルより置き換えてしまう方が合理的ではあります。しかしながら、平成初期生まれの筆者にとってはそこそこ新しいイメージで、外観も群を抜いて素晴らしい1000形から大量の廃車が発生していることは残念でなりません。せめて先頭車だけでも何らかの形で活用(辻堂海浜公園や厚木消防学校の2600形の代替、前頭部を使った運転シュミレーターなど)して欲しいですね。

 

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