かつての京王帝都電鉄では、休日のシーズンダイヤで「陣馬」「高尾」のヘッドマークを掲げた特急を運転していました。京王沿線の代表的な行楽地として知られる陣馬高原と高尾山へのハイキング登山客を運ぶことを目的としており、主に初代5000系が充当されていましたが、1980年代に入ると6000系もこの運用に就く姿が見られました。1992年以降は8000系の6両+4両により高幡不動で分割併合を行う京王八王子・高尾山口行きの特急が運転されるようになりますが、休日のヘッドマーク掲出はされなくなってしまいました。しかし、2007年の高尾線開通40周年を記念し8000・9000系に掲出し久方ぶりに復活、京王電鉄100周年を迎えた2013年4月27〜29日・5月3〜6日に実施の高尾・陣馬スタンプハイクには7000・8000・9000の各形式に掲出され鉄道マニアを歓喜させました。本年2022年は8000系2編成に掲出される事になり、「陣馬」を8006Fに、「高尾」を8010Fにそれぞれ掲出し、4月29日〜6月30日の約2ヶ月に渡り運用され注目を集めました。
「高尾」マークの8010F。高尾線開通後の1967年から1992年まで運転され、当時は午前中の高尾山口行き下り特急に掲出していました。なお今回は陣馬・高尾共に運用上の区別は無く各停や相模原線運用にも入ります。東京都心からのアクセスが良好な為、人気を集めている高尾山ですが、2009年3月発行のミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星評価とされた影響もあり、近年は更に観光地としての地位が高まっています。
「陣馬」の8006F。こちらは京王八王子行きで、終点の京王八王子では陣馬高原下行きの西東京バスに接続(現在の陣馬高原下行きバスは霊園32系統として高尾駅発着)していました。なお、陣馬山は東京都八王子市・神奈川県相模原市との都県境に位置する山で、広々とした頂上から陣馬高原とも呼ばれており、1969年には観光地として売り出す為に京王自身により白馬の像が立てられています。
本来なら京王5000系による特急を掲載したいところですが、筆者の生まれる前のことなので富士急行の撮影会で元5000系改め1000系リバイバルカラーに取り付けられた姿を。車体塗装が京王時代のカラーなので当時の雰囲気は伝わるかと思います。
陣馬はヘッドマークの形状が異なりますが、8000系に掲出しているものは前面形状に合わせて新調したことによります。陣馬のヘッドマークはサイズ以外にもイラストの違いで、写真のものと合わせて少なくとも3種類のデザインが存在したようです。
久方ぶりに復活した往年の陣馬・高尾ですが、やはり大きなイラスト入りヘッドマークが掲出されると撮影するのも面白く、行楽地へ向かう非日常的な感覚がより強まります。本日30日で最終日ですが、今後もまた行楽シーズンの実施に期待したいですね。