町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

地下鉄直通運用から撤退が始まった西武鉄道6000系

2024年09月24日 | 西武鉄道

1994年12月7日、西武有楽町線練馬〜小竹向原間開通により営団地下鉄(現在の東京メトロ)有楽町線との直通運転に充当されるようになった6000系は2008年度より東京メトロ副都心線へも進出し、2013年からは東急東横線〜横浜高速鉄道みなとみらい線へも運用範囲を拡大し池袋線系統の主力車両として運用が続いていました。その後は座席指定列車用にデュアルシート・車椅子対応トイレを備えた40000系が登場し、更にトイレ設備を非設置としロングシート仕様とした50番台が加わるもステンレス車・アルミ車共にVVVFインバーター制御装置や車内案内表示装置の更新を受け安定した活躍を見せていましたが2023年3月6日より、ステンレス車の6108Fが地下鉄用のATCやワンマン運転用のモニタ装置を撤去の上で地上専用車両となり新宿線・拝島線系統で運転を開始しました。更に同月21日には6103Fも新宿線へ回送されやはり正式に転属し現時点では6103F〜6108Fが新宿線に籍を移しています。玉突きで新2000系の廃車が進められることになりました。

東急東横線〜東京メトロ副都心線で完結する急行和光市行きに充当される6110F。40000系50番台の増備進行により2024年3月30日にはアルミ車体の50番台も全編成が地下鉄への直通運転を終了し池袋線地上専用車両とされ、現在は6109F〜6117Fが引き続き直通運転に使用されています。地上専用になった編成には非常用貫通扉の窓上部に黄色テープが貼られ、運転台にも地下鉄非対応を示す表記がされました。

池袋線系統で直通運転対応だった頃の6107F。この編成は2024年8月2日より新宿線で運用を開始し、代わりに20000系20101Fが池袋線に転入しています。1994年の登場から1ヶ月間、池袋線で運用され2007年1月まで新宿線に在籍し副都心線対応改造を受け池袋線に復帰した経緯があり、再び元の運用形態に戻ったとも言えます。

車内設備はリニューアルが施されている訳ではないですが小改良が目立ち、車内案内表示装置が登場時からのLEDスクロール表示→15インチ液晶画面(西武呼称ではスマイルビジョン)→左右一体型17インチ画面と変化し、座席モケットも背もたれの人数区分柄が廃止された無地の青色モケットに更新されています。

再更新された画面はワイド化され左右が一体になったような仕様で同じく副都心線・有楽町線に乗り入れている東武50070系のLED表示器置き換えにも用いられているタイプです。写真は夜間の東横線〜みなとみらい線で完結する武蔵小杉行き急行運用で撮影しました。

長らく地下鉄直通運用の主力車両として運用された西武6000系ですが、今後は更に40000系の増備が進められることや、まだ構想の域を出ないものの特急車両001形Laviewの乗り入れ計画が存在し車両側も規格を合わせて設計されていること、また2030年代までに車両新製と他社車両の譲受で直流モーター車の全廃を打ち出している為、6000系の直通運用も遠くない内に見納めになると思われます。

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海へ山へとロングランする西武鉄道40000系

2024年07月11日 | 西武鉄道

西武鉄道では初代スマイルトレインである西武30000系の後継車として、また地下鉄直通にも対応したデュアルシートの座席指定列車としても運用出来る車両である40000系を2017年に登場させました。同年3月25日から横浜高速鉄道みなとみらい線、東急東横線、副都心線系統の元町・中華街から西武秩父方面を結ぶ「S-TRAIN」として運用を開始しています。西武鉄道の車両としては実に約90年振りの川崎重工業製の車両であり、日本では現在のところ形式に40000を用いた唯一の存在です。2019年12月26日からはロングシート仕様・トイレ設備無しの50番台も登場し、池袋線系統での主力車両とされ、現在も増備が続いており、それまで主力だった6000系のステンレス車の一部とアルミ車の全編成が地上専用車とされ、前者は新宿線への転用が進行しています。

土日祝日に運用される主に観光客をターゲットにした副都心線系統のS-TRAIN西武秩父行き。運転パターンは平日と休日で異なり、平日は有楽町線の豊洲発着で設定され、通勤輸送に特化し遠近分離のため都心側ターミナルの池袋駅を通過することが特徴となっています。東急電鉄にとっては初の有料座席指定制列車でもあり、運転開始初日は東急横浜駅の岸哲也駅長(2017年当時)が「東急線を西武の列車が走ることは昔は到底考えられなかった」とインタビューに答えており、かつての伊豆半島や箱根の観光開発を巡り熾烈な争いを繰り広げていたことを思うと、大変画期的かつ時代が変わったことを予感させるものでした。

S-TRAINの運転から1年後の2018年3月10日からは「拝島ライナー」が設定され、西武新宿線・拝島線系統にも運用範囲が広がりました。なお、デュアルシート装備の0番台もロングシートモードで通常の西武線内の準急・急行や副都心線系統のFライナーに充当されることもあり、その場合は座席に設置されているコンセントやトイレも使用可能なため、ちょっとした乗り得列車とも言える存在です。

クロスシートモードでS-TRAIN充当時の車内。リクライニング機構こそありませんが、座り心地は上々で、先述のコンセントも設置されており、いわゆるライナー列車としては十分なレベルでしょう。なお、車椅子対応・ベビーベッド完備のバリアフリー仕様トイレは4号車に設けており、S-TRAIN以外にも快速急行などの比較的長時間の乗車が想定される列車に入った場合などは安心の設備です。

車内の液晶画面は0番台は天井に枕木方向の配置になっていますが、ドア上にも設置しています。西武仕様の動画広告と東急の路線図の組み合わせが広域ネットワークらしさを感じますが、車内放送は全区間に渡り石毛美奈子氏が担当しており、東急線内でも西武鉄道の音声による案内放送を聞くことができる珍しい仕様となっています。

 

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西武鉄道のサステナ車両が発表、小田急8000形・東急9000系を導入

2023年09月27日 | 西武鉄道

西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄「サステナ車両」を授受 各社連携して、SDGsへの貢献を加速してまいります :西武鉄道Webサイト

関東大手私鉄である西武鉄道は、同業他社よりサステナ車両(西武独自の譲受車の呼称)としてVVVFインバーター制御電車を同業他社から購入する旨を発表し衝撃を与えていましたが、今月26日に正式発表となりました。その内容は東急9000系・小田急8000形を両形式合わせて100両を譲受し主に支線区に導入するという、これまた予想を超えた展開になりました。

導入が決定した小田急8000形ですが、こちらは国分寺線での運用になることが明らかにされており最初の編成は2024年から運転開始とされています。恐らくは現在残存している6両編成が譲渡になるものと思われますが、当初のサステナ車両は無塗装であることが示されていた(後に削除)ので、普通鋼製車体の車両が選ばれることになるとは驚くばかりです。

東急9000系については西武秩父線・狭山線・多摩湖線・多摩川線での運用で主に101系、新2000系、4000系の置き換えを見込んでいるようですが、こちらは西武線内ではかつて共に活躍した5050系と、もしも秩父鉄道線乗り入れ運用が継続されるなら元8090系・8500系とも再会することになり、趣味的にはかなり熱い並びが展開されることになります。

置き換えられることになった新2000系。それまで3扉が主体だった西武通勤車の4ドア化を進め主力に成長した形式ですが、近年の首都圏では珍しくリニューアル車両も界磁チョッパ制御のまま存置されたこともあり廃車が始まっていましたが今後は更に急速に引退が進むようです。

池袋線・新宿線の運用からは撤退あいたものの支線区で細々と運用され、近年はリバイバル塗装で懐かしい姿を見せていた新101系も遂に引退へ。同時に西武鉄道の3ドア通勤電車も見納めです。

小田急・東急グループと西武グループで思い出されるのは、やはり箱根山戦争と伊豆戦争ですが、21世紀に入り技術的交流を始め車両の譲渡まで現実になろうとは正に「事実は小説よりも奇なり」です。堤康次郎や安藤楢六、五島慶太らが今の三社を見たら何を思うか。

 

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リニューアル工事を受けて活躍する西武鉄道・新2000系

2022年12月11日 | 西武鉄道

西武鉄道の主力車両として、各線でフレキシブルな運用に就く新2000系は経年20年を経過した200712月よりリニューアル工事が施工され、翌20083月に出場し運用を開始しました。この工事は車体修繕の他、バリアフリー対応化や車内イメージの一新など30000系並みにサービス水準を向上させる事を目的としており、主に後期製造車に対して実施されています。

新宿線で運用されるリニューアル施工済みの2081F。トップバッターの2047Fに次いで2本目の施工でした。写真のクハ2082には中間連結時の転落事故防止放送用スピーカーが設置されており、スカートにスリットが見られますが、この後に施工された8両編成では省略されている為、唯一の装備になっています。

回送で池袋線を上る2091F。この編成は2011年度施工で、同年315日出場予定でしたが11日午後に発生した東日本大震災の影響で、予定が遅れ26日の出場となりました。上の編成と比較すると、スカート部分が原型のままになっており、スピーカー未設置であることが分かります。

小川駅で未更新車と並ぶ国分寺線で運用中のリニューアル第一陣となった2047F。数少ない6両編成のリニューアル車で、単独で国分寺線の他、2両・4両を増結した810両で新宿線・拝島線の運用に入る姿も見られます。

大幅にイメージが変わった車内設備。化粧板や床材は全て交換され、座席は以前のオレンジ系からブルー系に一新し大型袖仕切りを新設、また戸袋窓も閉鎖されています。ドア上にはLEDによる車内案内表示器と戸開予告装置を千鳥に配置し、車内放送は自動化されました。

リニューアルによってサービス水準が大幅に向上した新2000系ですが、西武鉄道では2030年までに保有車両全てのVVVF化を表明しており、それまでに黄色い電車である新2000系・新101系は引退することになってしまいました。この先は置き換えが加速し数を減らして行く事と思いますが、新造車や他社から譲受予定のサステナ車両の件も含め、今後の動向に注視したいですね。

 

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廃車が開始された西武新2000系

2022年07月06日 | 西武鉄道

1988年に登場し、西武鉄道通勤車の4扉化を推し進め広範囲に渡り運用されている新2000系ですが、明確な置き換え計画は打ち出されておらず、今しばらくの安定した活躍が見込まれると思われました。しかし2021112日、池袋線の2063Fが新宿線の2411Fと連結の上で横瀬に回送され、VVVF試験車2097F以来編成単位での廃車が発生することになりました。その後は主力として活躍する新宿線所属車の方から多数の廃車が出ており、勢力が減少しています。

車体の大規模リニューアルは施工されていないものの、行先表示のフルカラー化、集電装置のシングルアーム化で大分印象が変化した新2000系。後期型は池袋線を中心に配置されていますが、新宿線にも少数ながら在籍しており、扉の開閉動作で判別出来ます。

8両+2両の10両編成を組む池袋線の新2000系。新宿線とは異なり、池袋線では連結位置が常に固定されており下り(飯能方面)列車では常に制御電動車が先頭に立つため、2基で前パンタの勇壮なスタイルを見ることが出来ます。

新宿線系統では8+2、6+4の10両、4+4、2+6の8両など各編成を組み合わせで長編成を組む為、比較的多く見られる先頭車同士の連結シーン。固定編成化が進むとこうした場面も珍しくなりそうです。

車内設備はドアガラスが初期車と同じ寸法に戻りましたが、戸閉機構が旧来の床置式から直動式に改められ、動作が変化した他、開閉ユニットを上部に移したため、鴨居部の造作が初期車・中期車とは異なります。40000系増備に伴い遂に廃車が開始された新2000系ですが、今後は経年が浅い後期車やリニューアル車なども走行機器が界磁チョッパ制御のままである事を考えると、安泰とは言えないかも知れません。

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